
辛うじて芽やなぎ水にとゞきけり 久保田万太郎
柳の葉先が、かすかに水に触れているらしい。実際には触れておらず、漣が立つと触れるほどなのかもしれない。とどくかとどかないか、その際が面白いのだ。「とゞきけり」の「けり」は詠嘆の切字であるが、ここでは発見の意味合いが強い。(松)
では、発見の「けり」をいくつか。
道のべの木槿は馬に食はれけり 芭蕉
若鮎の二手になりて上りけり 正岡子規
咲き満ちてこぼるる花もなかりけり 高浜虚子
蔓踏んで一山の露動きけり 原石鼎
新涼の身にそふ灯影ありにけり 久保田万太郎
金魚屋のとどまるところ濡れにけり 飴山實
網代木は幽かに水を奏でけり 長谷川櫂
竹の皮脱ぐにも序列ありにけり 山岡麥舟
鷲の子は雪よりしろく生まれけり 岩井善子
はくれんの花たそがれてゐたりけり 北側松太









