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カテゴリーアーカイブ: 一句を読み解く

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一句を読み解く149

大呂俳句会 投稿日:2014年5月10日 作成者: dvx223272023年5月6日

yuzunohana

ほのと香の三千世界花柚かな  飴山實

 この世は今、ほんのりとした香に包まれている。「三千世界」と中七に軽い切れが入って、「そうか、これは柚子の花の香りだ」という気付きになる。三千世界は御仏の見守るこの世のこと。御仏の慈悲のような柚子の香りである。(松)

カテゴリー: 一句を読み解く, 一句鑑賞

一句を読み解く148

大呂俳句会 投稿日:2014年4月26日 作成者: dvx223272014年4月26日

0426

春の夜や籠人ゆかし堂の隅  芭蕉

 笈の小文の一句。前書きに「初瀬」とある。初瀬は奈良県桜井町で長谷寺のあるところ。句も長谷寺のひとこまを詠んだものである。
 「籠人(こもりど)」は参籠して恋の成就を願う婦人とされるが、限られた十七文字からそこまで読み取ることは難しい。お堂の隅でひっそりと恋の成就を願うひと、春の夜の趣ともあいまって、なにやら心惹かれることよ、という一句である。(松)

カテゴリー: 一句を読み解く, 一句鑑賞

一句を読み解く147

大呂俳句会 投稿日:2014年4月17日 作成者: dvx223272014年4月17日

hibari

雲雀落ちて天日もとの所にあり  村上鬼城

 「もとの所にあり」が発見である。「雲雀落ちて空に天日あるばかり」を少しひねった表現であるが、この小さなひねりが文の芸である。「空に天日あるばかり」から「天日もとの所にあり」までは一見近いようで千里の径庭かもしれない。(松)

カテゴリー: 一句を読み解く, 一句鑑賞

一句を読み解く 146

大呂俳句会 投稿日:2014年4月6日 作成者: dvx223272014年4月6日

wakaayu

若鮎の二手になりて上りけり  正岡子規

 若鮎が上ったというだけの句。「上り鮎」という季語もあるので、当たり前といえば至極当たり前の一句である。「二手になりて」と描写して、単純な構図がそのまま若鮎の勢いになっている。(松)

——-

今日の季語_若鮎

*
小鮎、鮎の子、稚鮎、上り鮎
【関連季語】
鮎、落鮎
【解説】
海で育った鮎は春になると川を遡る。これが若鮎である。体長は五センチくらい。上り鮎ともいい、清冽な印象がある。
【分類】
晩春・動物
【例句】

鮎の子のしら魚送る別哉 芭蕉
挑灯で若鮎を売る光かな 太祇
若鮎や谷の小笹も一葉行く 蕪村
蓼はまだつばな穂に出て小鮎鮓 也有
若鮎の鰭ふりのぼる朝日かな 蓼太
花の散る拍子に急ぐ小鮎哉 一茶
わか鮎は西へ落花は東へ 一茶
よく見れば小鮎走るや水の底 吟江
若鮎や背すじゆるさぬ身のひねり 井上井月
若鮎の波打つさまに焼かれたる 永島靖子
のぼりつめ若鮎ふいに影濃くす 鎌倉佐弓
若鮎や生家は水の音ばかり 高野ムツオ
かゞやける瀬波にまぎれ上り鮎 森田峠
若鮎の二タ手になりて上りけり 正岡子規
見ればただ水の色なる小鮎哉 正岡子規
若鮎に朝日さばしる杉の山 大串章
若鮎の強火に反りて木曾の宿 鷹羽狩行
水ナ上の神召し給ふ小鮎かな 尾崎迷堂
若鮎の光る水さへ胸痛む 百合山羽公
若鮎の二手になりて上りけり 正岡子規
玉川や小鮎たばしる晒し布 正岡子規
鮎の子や御幸の沙汰も仄かにて 石井露月
若鮎の花の姿を田楽に 長谷川櫂
カテゴリー: 一句を読み解く, 一句鑑賞

一句を読み解く 145

大呂俳句会 投稿日:2014年4月5日 作成者: dvx223272014年4月5日

momonohana

海女とても陸こそよけれ桃の花  高浜虚子

 「こそ」「けれ」の係り結びの俳句である。「陸(くが)」を強く印象付けようという係り結び、海女が桃の咲くかたわらを歩いているようにもとれるが、注釈に「外海に海女の作業を見る。」とあるから、海女のいるところは海の中か舟の上ということになる。虚子も舟の中で見ているとすれば、季語の「桃の花」は推敲の過程で選ばれたものかもしれない。(松)

——-
今日の季語_桃の花

*
白桃、緋桃、源平桃、桃畑、桃林、桃園、桃見、桃の村、桃の宿
【関連季語】
桃
【解説】
桃は、桜に少し遅れて淡紅色の花を咲かせる。実を収穫するための花であり、その華やかさとは別に、生活に根ざしている花ということができる。
【分類】
晩春・植物
【例句】

煩へば餅をも喰はず桃の花 芭蕉
船足も休む時あり浜の桃 芭蕉
桜より桃にしたしき小家かな 蕪村
喰うて寝て牛にならばや桃の花 蕪村
商人(あきんど)を吼る犬ありもゝの花 蕪村
家中衆にさむしろ振ふもゝの宿 蕪村
桃の木へ雀吐き出す鬼瓦 鬼貫
鯛を切る鈍き刃ものや桃の宿 几董 
戸の開てあれど留守なり桃の宿 千代女
桃咲くやおくれ年始のとまり客 一茶 
不相応の娘もちけり桃の花 一茶
海女とても陸こそよけれ桃の花 高浜虚子
荷車に娘載せけり桃の花 正岡子規
桃の花をのこのやうに育てし子 渡辺文雄
一ト畑は嫗のほまち桃の花 飴山實
潺々と水来て去りぬ桃の花 飴山實
膝で折り魚龍にさし込む桃の花 飴山實
桶の水ぴんと張られて桃の花 伊藤敬子
傷舐めて母は全能桃の花 茨木和生
桃咲くやいまだに流行る漢方医 夏目漱石
硝子戸の奥に母ゐる桃の花 鎌倉佐弓
ふだん着でふだんの心桃の花 細見綾子
まいにちを少し寝不足桃の花 細川加賀
ひとつ知りひとつ忘れて桃の花 山本しほ
もの言うて歯が美しや桃の花 森澄雄
まつさきに開きたる窓桃の花 仙田洋子
桃咲いて五右衛門風呂の湯気濛々 川崎展宏
点滴注射明日より減るよ桃の花 相馬遷子
嘗て住み今旅人よ桃の花 太田土男
土砂降りとなりたる国栖の緋桃かな 大峯あきら
両眼なき達磨のゆとり桃の花 大木あまり
交りは母系に厚し桃の花 中戸川朝人
五百年前は戦国桃の花 野木藤子
おむすびの芯つめたくて桃の花 中田剛
きのふけふ歩いて桃の花ざかり 長谷川双魚
遊びゐるうちに日が暮れ桃の花 長谷川櫂
山碧し花桃風を染むばかり 飯田龍太
桃の花菜の花挿せば唱ひだす 野澤節子
アルプスの濡れ身かがやく桃の花 矢島渚男
長き枝のすぐに盛りや桃の花 藺草慶子
保険屋が来て死の話桃の花 北側松太
くちなはは小屋に逃げこみ桃の花 岩井善子
カテゴリー: 一句を読み解く, 一句鑑賞

一句を読み解く144

大呂俳句会 投稿日:2014年4月1日 作成者: dvx223272014年4月1日

nanohana

菜の花や月は東に日は西に  蕪村

 一つの空に月と太陽があり、「日永」という季語を感じさせる一句である。「日永」を即物的にとらえた結果が「月は東に日は西に」である。それに季語である「菜の花」をそえて、一句に仕立てたもの、前回取り上げた「その辺の草を歩いて啄木忌」に通じるものがある。(松)

——-

今日の季語_菜の花

*
花菜、菜種の花、油菜
【関連季語】
菜種蒔く、花菜漬 、菜種梅雨
【解説】
春、菜種畑で一面の黄色い花を咲かせる。菜種油を採るために栽培されるが、葉や茎は食用にもなる。
【分類】
晩春・植物
【例句】

菜畠に花見顔なる雀哉 芭蕉
菜の花や月は東に日は西に 蕪村
なの花の中に城あり郡山 許六
菜の花やかすみの裾に少しづつ 一茶
菜の花や淀も桂も忘れ水 言水
菜の花やはつとあかるき町はづれ 正岡子規
菜の花や西の遥かにぽるとがる 有馬朗人
花菜雨能登はなゝめに松さゝり 飴山實
菜の花の失せし近江をまのあたり 飴山實
菜の花の中へ大きな入日かな 夏目漱石
菜の花の中に小川のうねりかな 夏目漱石
菜の花に汐さし上がる小川かな 河東碧梧桐
菜の花の中や大きな水たまり 岸本尚毅
菜の花に日月淡し師の歿後 桂信子
主に祈る花菜あかるき中に臥し 古賀まり子
いちめんの菜の花といふ明るさよ 行方克巳
菜の花にねり塀長き御寺かな 高浜虚子
一本づつ涼しいやうな花菜かな 細見綾子
菜の花のおぼろが空につゞくなり 細見綾子
菜の花に昔ながらの近江富士 山口波津女
菜の花や児を抱き上げて父若く 山田歌子
人麿も来し菜の花の岬かな 山本洋子
菜の花の明りの中に水車小屋 小寺敬子
旅に狎れて酔へば菜の花明りかな 小林康治
菜の花の月夜の風のなつかしき 松本たかし
菜の花は濃く土佐人の血は熱く 松本たかし
菜の花や浦に三十三観音 松本梓
菜の花の花も莟もちらし酢 植田房子
菜の花の莟に出汁を含ません 神蛇広
サヨナラがバンザイになる花菜道 正木ゆう子
息せるや菜の花明り片頬に 西東三鬼
つぎつぎに菜の花売つて桶の空 斉藤夏風
菜の花の夜明け月に馬上かな 村上鬼城
菜の花を包みて莚雪まみれ 長谷川櫂
菜の花にからまる絲は我の絲 田中裕明
菜の花や一夜泊りの安房の国 渡辺文雄
菜の花といふ平凡を愛しけり 富安風生
家々や菜の花色の燈をともし 木下夕爾
カテゴリー: 一句を読み解く, 一句鑑賞

一句を読み解く143

大呂俳句会 投稿日:2014年3月30日 作成者: dvx223272014年3月30日

harunokusa

その辺の草を歩いて啄木忌  大峯あきら

 「草を歩いて」は季語の「踏青」を思わせる。つまり、「踏青」という季語を即物的に描写することで、季語としての主張をやわらげ、そこに新たな季語「啄木忌」を取り合わせたという一句。「その辺」というあいまいさが味わい深い。(松)

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今日の季語_啄木忌

【解説】
四月十三日の石川啄木の忌日。明治十九年、岩手県にに生まれる。「明星」の詩人として登場したが、小説家を目指して職を転々とする。明治四十三年に三行書きの歌集「一握の砂」を出した。明治四十五年、二十六歳で没した。
【分類】
晩春・行事
【例句】

啄木忌いくたび職をかへてもや 安住敦
ある年の花遅かりき啄木忌 久保田万太郎
ひところのわれをかへりみ啄木忌 桂信子
あ・あ・あ・とレコードとまる啄木忌 高柳重信
戦経て傷みし身なり啄木忌 村山古郷
その辺の草を歩いて啄木忌 大峯あきら
物書くは巣籠るに似て啄木忌 鷹羽狩行
あふらるる辛夷の花や啄木忌 長谷川櫂
あくびしていでし泪や啄木忌 木下夕爾
いつ消えしわが手のたばこ啄木忌 木下夕爾
なりはひの下駄の片減り啄木忌 鈴木真砂女
みちのくはおぼろなるべし啄木忌 飯田龍太
うつうつと夜汽車にありぬ啄木忌 藤田湘子
ほどほどに飲む事覚え啄木忌 河口夏実
海に来て星のただなか啄木忌 武田百合
カテゴリー: 一句を読み解く, 一句鑑賞

一句を読み解く142

大呂俳句会 投稿日:2014年3月20日 作成者: dvx223272014年3月20日

uguisu

囀の一羽なれどもよくひびき  深見けん二

 逆接の俳句である。逆接は期待した結果を裏切るというもの。この句の場合は、「一羽ゆえに静かな囀」が期待した結果、それを裏切って「よくひびき」と驚きを表す。軽い意外性が味わい深い。

——-

今日の季語_鶯

*
黄鶯、匂鳥、歌よみ鳥、経よみ鳥、花見鳥、春告鳥、初音、鶯の谷渡り、流鶯、人来鳥
【関連季語】
笹鳴、老鶯
【解説】
春を告げる鳥である。古くからその声を愛でられ詩歌に詠まれてきた。夏の時鳥、秋の雁と並んでその初音がたたえられる。
【分類】
三春・動物
【例句】

鶯や柳のうしろ藪の前  芭蕉 
鶯や餅に糞する縁のさき 芭蕉 
鶯を魂にねむるか矯柳(たうやなぎ)– 芭蕉 
鶯の声や竹よりこぼれ出る 才磨 
鶯や下駄の歯につく小田の土 凡兆 
鶯のあちこちとするや小家がち 蕪村 
鶯の声遠き日も暮にけり 蕪村 
鶯のそそうがましき初音哉 蕪村 
鶯を雀かと見しそれも春 蕪村 
鶯や賢過たる軒のむめ 蕪村 
鶯の日枝をうしろに高音哉 蕪村 
鶯や家内揃うて飯時分 蕪村 
鶯や茨くゞりて高うとぶ 蕪村 
鶯の啼やちいさき口明て 蕪村 
どこでやらで鶯なきぬ昼の月 士朗 
鶯の静かに啼くや朝の雨 成美 
鶯やとのより先へ朝御飯 一茶
鶯やくらまを下る小でうちん 一茶
鶯や朝寝を起す人もなし 正岡子規 
鶯や畠つづきの寺の庭 正岡子規
鶯の覚束なくも初音哉 正岡子規
鴬や洞然として昼霞 高濱虚子
切株に鴬とまる二月かな 原石鼎
鴬や茜さしたる雑木山 芥川龍之介
すさまじく鶯啼いて大広間 久米正雄
鴬につもらぬ雪のふりにけり 久保田万太郎
鴬の聲を眞似をるこどもかな 佐々木六戈
うぐひすを放つやしばし竹の秋 三好達治
鴬の来てあけぼのの庭に胸赤し 水原秋櫻子
鴬のこゑ前方に後円に 鷹羽狩行
今ひとたび鶯をきき別れけり 長谷川かな女
乱鶯のこゑ谷に満つ雨の日も 飯田蛇笏
鴬のすぐ去るはこゑ羞らふや 野澤節子
畦塗りつつタ鶯を聞く貌か 飴山實
囀の一羽なれどもよくひびき   深見けん二
鶯や一つ大きく明らかに 長谷川櫂 
おのづから聞ゆるものに初音かな 長谷川櫂 
天地の間に一つの初音かな 長谷川櫂 
カテゴリー: 一句を読み解く, 一句鑑賞

一句を読み解く141

大呂俳句会 投稿日:2014年3月16日 作成者: dvx223272014年3月16日

kouma

足踏みの好きな仔馬でありにけり  石田郷子

 春に生まれた仔馬である。馬は前年の春に受胎し、約一年間かけて出産する。生まれてすぐに立ち上がり歩きまわるようになる。
 句は、何のけれんみもなく、仔馬を足踏みだけで捉えている。「足踏みをしている仔馬」では当たり前、「好きな」という一語が句に躍動感を与えている。

 何々の好きな仔猫でありにけり
 何々の好きな蛙でありにけり
 何々の好きな小鳥でありにけり
 何々の好きな椿でありにけり
 何々の好きな蜻蛉でありにけり

 などなど、いろいろ応用できそうである。(松)

カテゴリー: 一句を読み解く, 一句鑑賞

一句を読み解く140

大呂俳句会 投稿日:2014年3月5日 作成者: dvx223272014年3月5日

nurume

春愁や二本の腕のありどころ  小川軽舟

 「ありどころ」と締めて、判断を読み手に預けている。「春愁」という季語から判断すれば、二本の腕がままならない、ということだろうか。横になって手枕でもしているのだろう。腕の位置がなかなか定まらないうたた寝である。(松)

では、判断を読み手に預けている句をいくつか。

稲雀茶の木畠や逃げどころ  芭蕉
凧きのふの空のありどころ  蕪村
暑き夜やいづくを足の置きどころ  尚白
凩や東京の日のありどころ  芥川龍之介
芭蕉高し雁列に日のありどころ  原石鼎
持ちいでし七夕竹の立てどころ  高橋淡路女
秋深き石の小臼のおきどころ  中川宋淵
さみしさの昼寝の腕の置きどころ  上村占魚
白々と立夏の月の在りどころ  高木晴子
大いなる涅槃の月のありどころ  岩井善子

ものがなかなか定まらない、という句が多い。

カテゴリー: 一句を読み解く, 一句鑑賞

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