一句を読み解く140

春愁や二本の腕のありどころ 小川軽舟
「ありどころ」と締めて、判断を読み手に預けている。「春愁」という季語から判断すれば、二本の腕がままならない、ということだろうか。横になって手枕でもしているのだろう。腕の位置がなかなか定まらないうたた寝である。(松)
では、判断を読み手に預けている句をいくつか。
稲雀茶の木畠や逃げどころ 芭蕉
凧きのふの空のありどころ 蕪村
暑き夜やいづくを足の置きどころ 尚白
凩や東京の日のありどころ 芥川龍之介
芭蕉高し雁列に日のありどころ 原石鼎
持ちいでし七夕竹の立てどころ 高橋淡路女
秋深き石の小臼のおきどころ 中川宋淵
さみしさの昼寝の腕の置きどころ 上村占魚
白々と立夏の月の在りどころ 高木晴子
大いなる涅槃の月のありどころ 岩井善子
ものがなかなか定まらない、という句が多い。
