「たきのへに」と読むのだろうが、「たきのうえに」と字余りで読むのもいい。スローモーションのような上五になる。「水現れて」が言葉の妙。滝の上に一瞬静止した水が、次の瞬間どっと落ちてくる。スローモーションから一転激しい動きに変化する。(m)
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涼風の一塊として男来る 飯田龍太
俳句では「りょうふう」ではなく、「すずかぜ」と読む。涼やかといえば「執着」がない、「べたべた」しない、というあたりが相場であろうか。かといって「冷酷」であっても困りもの、そんなやつがいるのか、と思わせるような一句、作者の飯田龍太こそ「涼風の一塊」かもしれない。(m)
一句を読み解く 202
寝乱るるほどの髪なき籠枕 片山由美子
「寝乱るるほどの髪」が恋を連想させる。したがって、もう恋のときめきも無いのよ、という雰囲気がこの句を支配している。ちょっと開き直っている感じがユーモア、季語の「籠枕」が充分に働いている俳句である。(m)