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カテゴリーアーカイブ: 使ってみたい季語

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今日の季語_薔薇

大呂俳句会 投稿日:2014年5月17日 作成者: dvx223272014年5月17日

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【鑑賞】

紙箱に莟の薔薇を剪りそろへ  長谷川櫂

 咲いている薔薇が詠まれることが多いが、この薔薇は出荷される薔薇、「剪りそろへ」で丁寧な仕事ぶりが伝わってくる。(松)

——-

*
西洋薔薇、しようび、花ばら、薔薇園、そうび
【関連季語】
茨の花、薔薇の芽、秋薔薇、冬薔薇
【解説】
バラ科バラ属の落葉樹の総称である。初夏、芳香のある花を咲かせる。茎には鋭い棘をもつ。赤白黄色オレンジ色など色もさまざまである。
【分類】
初夏・植物
【例句】

一輪ざしに活けたる薔薇の二輪哉 正岡子規
夕風や白薔薇の花皆動く 正岡子規
障子あけて病間あり薔薇を見る 正岡子規
憂なきに似て薔薇に水やつてをり 安住敦
さきがけて薔薇の黄をとどけねばならぬ 宇多喜代子
号泣の薔薇もあるべし薔薇のたば 鎌倉佐弓
庭の薔薇汝に切り供ふ昨日また今日 及川貞
テームスのふなびとに寄せ窓の薔薇 京極杞陽
マタイ伝開きてありし薔薇の卓 原田青児
しばらくは眼鏡くもりて薔薇の部屋 細川加賀
旋盤のこんなところに薔薇活けて 菖蒲あや
わが病わが診て重し梅雨の薔薇 相馬遷子
教会の束ねて青き薔薇の棘 大木あまり
咲き切つて薔薇の容を越えけるも 中村草田男
ひと拗ねてものいはず白き薔薇となる 日野草城
ぬれいろに夜昼となく緋薔薇さく 飯田蛇笏
一つ一つ覗きし薔薇の渦に酔ふ 蓬田紀枝子
朝風に薔薇惜しみなく香を放つ 木下夕爾
かくれ泣く妻が肩見ゆ白薔薇 有働亨
月の露光りつ消えつ薔薇の上 鈴木花蓑
塹壕に薔薇しばらくはふるへたり 齋藤玄
紙箱に莟の薔薇を剪りそろへ 長谷川櫂
薔薇を剪る明るき雨でありにけり 川村玲子

今日の季語_青嵐

大呂俳句会 投稿日:2014年5月14日 作成者: dvx223272014年5月14日

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【鑑賞】

赤ん坊にはじめての靴青嵐  長谷川櫂

 歩きだしたばかりの赤ん坊の足はとても小さく柔らかい。その足に初めて靴を履かせる喜び。はらはらしながらも、父母はわが子の歩行を見守る。若芽の息吹を伝えるかのように、新緑の中を強い風が吹き渡る。
 何故ゆえに季語が「青嵐」なのか、その辺にも思いが至る一句である。(あかり)

*
風青し
【解説】
青葉のころに吹く強い風のこと。
【分類】
三夏・天文
【例句】

石打つて鶴飛ばせたり青嵐 臼田亜浪
みどり児の香が先にくる青嵐 加藤知世子
青嵐吹きすぼまりし虚空かな 加藤楸邨
大手より源氏寄せたり青嵐 夏目漱石
青嵐大樹はいつも仰がるる 岩岡中正
艪のきしりいよ~たかし夏あらし 久保田万太郎
下京を過ぎてしばらく青嵐 桂信子
たちまちに涙の乾く青嵐 原田青児
青嵐一蝶飛んで矢より迅し 高浜虚子
青嵐柱に背をもたせたる 高濱虚子
本丸の櫓普請や青嵐 寺田寅彦
古桑に掛けある魚籠や青嵐 芝不器男
縁臺のうすべりとんで青嵐 星野立子
棟二つ谷に沈みて青嵐 西山泊雲
病む窓のひとつにあふれ青嵐 石川桂郎
滞船のひしめき摶つや青あらし 前田普羅
雉子の声青嵐をも劈(つんざ)けり 相生垣瓜人
一睡の乱さるもよし青嵐 村越化石
紫蘇を吹く播磨の国の青嵐 大峯あきら
青嵐の到ると見ゆる遠樹かな 日野草城
川瀬ゆるく波をおくるや青嵐 飯田蛇笏
峡中のひとの生きざま青嵐 飯田龍太
大木に熊の爪跡青あらし 飯田龍太
おごそかに離宮閉ちたり青嵐 尾崎紅葉
島を出し船にしばらく青嵐 片山由美子
青嵐目を見ひらいて飛騨に入る 有働亨
ぬきんでし松のことさら青嵐 鈴木真砂女
酒にあれし胃をいとおしむ青嵐 鈴木六林男
入院も旅のひとつよ青嵐 飴山實
寝ころんで何の思案か青嵐 長谷川櫂
赤ん坊にはじめての靴青嵐 長谷川櫂
命名の半紙が壁に青嵐 藺草慶子

今日の季語_初鰹

大呂俳句会 投稿日:2014年5月12日 作成者: dvx223272014年5月12日

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【鑑賞】

目には青葉山ほととぎす初鰹  素堂

 季語が三つも入った季重なり。その上「切れ」が二箇所の三段切れ。どちらも俳句ではいけないと教えられるが、素堂の句は名句として伝えられている。初鰹を導き出すための青葉であり、ほととぎすである。三段切れの小気味よさが「初鰹」の生きの良さというところか。

——-

*
初松魚
【関連季語】
鰹
【解説】
鰹は、四月から五月にかけて黒潮に乗って北上する。初夏、伊豆沖あたりで獲れるのが初鰹。昔は、その鰹を生きたまま江戸まで運んだ。江戸っ子たちは値の張るそれを競って求めた。初鰹は、江戸で生まれたの季語である。
【分類】
初夏・動物
【例句】

目には青葉山ほととぎす初鰹  素堂
鎌倉を生きて出でけむ初鰹 芭蕉
大江戸や犬もありつく初鰹  一茶
江戸つ児は江戸でうまれてはつ鰹   子規
初鰹男ばかりで囲みたる 宇多喜代子
上の句はなんであらうと初松魚 加藤郁乎
初鰹糶の氷片とばしけり 皆川盤水
初鰹襲名いさぎよかりけり 久保田万太郎
江戸亡ぶ俎に在り初鰹 高浜虚子
みどり葉を敷いて楚々たり初鰹 三橋鷹女
初松魚羽が生えたり江戸の空 正岡子規
めでたかり出刃打ちこんで初鰹 石川桂郎
初鰹夜の巷に置く身かな 石田波郷
断つほどの酒にはあらず初鰹 鷹羽狩行
水はじき鉄のごとしや初鰹 鷹羽狩行

今日の季語_牡丹

大呂俳句会 投稿日:2014年5月8日 作成者: dvx223272014年5月8日

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【鑑賞】
かくれたる牡丹うつりて潦  鈴木花蓑

 潦(にわたずみ)は、雨のあとの水たまり、その水たまりに葉隠れの牡丹が映っている。

——-

*
ぼうたん、深見草、富貴草、白牡丹、牡丹園
【関連季語】
寒牡丹、牡丹の芽、牡丹焚火
【解説】
ボタン科ボタン属の落葉小低木。原産は中国で天平時代に日本に渡ったとされる。昔から花の王といわれ、白や紅、ピンク、黄色など香りの強い大輪の花を咲かせる。
【分類】
初夏・植物
【例句】

牡丹蘂ふかく分出る蜂の名残哉 芭蕉 
いにしへのならの都の牡丹持 其角 
牡丹散つてうちかさなりぬ二三片  蕪村 
牡丹切て気の衰へし夕かな 蕪村 
閻王の口や牡丹を吐かんとす 蕪村 
地車のとゞろとひゞく牡丹かな 蕪村 
低く居て富貴をたもつ牡丹かな 太祇 
扇にて尺を取りたる牡丹哉 一茶 
さまざまな牡丹の中にやつれゆく きくちつねこ
二つづつ乳房牡丹を通り抜け 宇佐美魚目
「運命」と云ふ曲の中牡丹散る 加藤知世子
かんがへて牡丹をのぼる蟻の列 加藤楸邨
火の奧に牡丹崩るるさまを見つ 加藤楸邨
これやこの大夢の如き黒牡丹 橋本夢道
白昼の牡丹遠見にひとの家 桂信子
白牡丹といふといえども紅ほのか 高浜虚子
ほぐれ起つ風の一片夕牡丹 高野素十
牡丹の花に暈ある如くなり 松本たかし 
花に葉に花粉ただよふ牡丹かな 松本たかし 
花深く煤の沈める牡丹かな 松本たかし 
何といふ風か牡丹にのみ吹きて 細見綾子
めつむりて闇きが中に白牡丹 山口青邨
曙にしばし風もつ牡丹かな 松瀬青々
おほまかに廻せる垣の牡丹かな 上村占魚
牡丹の終りし土を掃いてをり 上野泰
やがて沈む日の当りをる牡丹かな 星野立子
美服して牡丹に媚びる心あり 正岡子規 
いたづらに牡丹の花の崩れけり 正岡子規
ゆき合へる蟻の突立つ牡丹かな 大木あまり
地獄絵に風の牡丹を加ふべし 大木あまり
一日に一齢加へ白牡丹 鷹羽狩行
われもまた息ととのへつ夜の牡丹 中村汀女
まどろみの後蒼白の牡丹かな 塚本邦雄
ひとひらは虚空へ散りぬ白牡丹 渡辺恭子
日輪を送りて月の牡丹かな 渡辺水巴 
僧兵の庭に屯の牡丹かな 渡辺水巴 
一斉に牡丹散りけり十三片 渡辺水巴
大阪の船場の庭の牡丹かな 日野草城
吾を生みし天に日月地に牡丹 野見山朱鳥
かくれたる牡丹うつりて潦 鈴木花蓑
たそがれて大きく円く白牡丹 鈴木花蓑
したたかに墨を含める牡丹かな 長谷川櫂 
大濤のくづれし嵩の牡丹かな 高田正子 

今日の季語_蛙(かはず)

大呂俳句会 投稿日:2014年3月29日 作成者: dvx223272014年3月29日

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【鑑賞】

明日は又明日の日程夕蛙  高野素十

 明日もまた忙しいのだろう。それでも少しほっとしている感じがあるのは、季語である「夕蛙」の働き。季語がよく働いている、そんな俳句である。(松)

*
殿様蛙、赤蛙、土蛙、初蛙、昼蛙、夕蛙、夜蛙、遠蛙、筒井の蛙、蛙合戦、鳴く蛙、苗代蛙、田蛙
【関連季語】
蝌蚪、蟇、牛蛙
【解説】
春になると蛙は冬眠から覚め、雄は雌を求めてさかんに鳴き始める。
【分類】
三春・動物
【例句】

古池や蛙飛込む水のおと 芭蕉 
月に聞て蛙ながむる田面かな 蕪村 
閣に座して遠き蛙をきく夜哉 蕪村 
いうぜんとして山を見る蛙哉 一茶
痩蛙負けるな一茶是に有 一茶 
田を売ていとど寝られぬ蛙かな 北枝 
手をついて歌申しあぐる蛙かな 宗鑑
こだまする蛙の中の坊泊り 阿部みどり女
昼の酒濁世の蛙聞きながら 飴山實
山蛙けけらけけらと夜が移る 臼田亜浪 
初蛙これが余生の灯かと思ふ 永井龍男
みちのくの夜汽車冷えゆく初蛙 皆川盤水
ふかざけのくせまたつきし蛙かな 久保田万太郎
初蛙ひるよりは夜があたゝかき 及川貞
明日は又明日の日程夕蛙 高野素十
さびしさに馴れて寝る夜の蛙かな 上村占魚
初蛙湯町はづれに宿とれば 森田峠
夕月や田舟めぐつて鳴く蛙 正岡子規
名所に住んでつたなき蛙哉 正岡子規
門しめに出て聞て居る蛙かな 正岡子規 
あしたよりあかるき雨の遠蛙 石橋秀野
漣の中に動かず蛙の目 川端茅舍 
啼き立てゝ暁近き蛙かな 前田普羅
ねむるなり萬の蛙の聲の中 相馬遷子
初蛙峠越すとき振り分け荷 大峯あきら
みはるかす空の奥なる蛙かな 中田剛
どこの水に鳴く蛙かな夜の雨 長谷川かな女
子を呼んで蹠踏ますや初蛙 長谷川櫂 
目もとまで喉ふくらませ初蛙 長谷川櫂 
木簡に添寝の蛙掘り出され 津田清子
初蛙料理の間とて暗かりき 田中裕明
初蛙天地眺めてゐるところ 橋詰育子
しばらくは水の声かと初蛙 村松二本
昨日の句はや古びけり初蛙 松本梓
やはらかき赤子の蹠昼蛙 渡辺文雄
水揺れてすなはちそこに初蛙 大谷弘至
りりるると鳴き交してや初蛙 山内あかり

今日の季語_花

大呂俳句会 投稿日:2014年3月28日 作成者: dvx223272014年3月28日

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【鑑賞】

花の上に浮ぶや花の吉野山  長谷川櫂

 「花の吉野山」を浮かべるのは「花の吉野山の花」、不思議な位置関係こそがこの句の詩情といえよう。花がさながら雲のように描かれた屏風絵のような一句。

*
花房、花の輪、花片、花盛り、花の錦、徒花、花の陰、花影、花の奥、花の雲、花明り、花の姿、花の香、花の名残、花を惜しむ、花朧、花月夜、花の露、花の山、花の庭、花の門、花便り、春の花、春花、花笠、花の粧
【関連季語】
桜、初花、花曇、花見、落花、残花、余花
【解説】
俳句で花といえば桜のこと。桜が植物そのものをさすのにたいして、花はひとの思いがこもった季語といえる。
【分類】
晩春・植物
【例句】

これはこれはとばかり花の吉野山 貞室
ながむとて花にもいたし脛の骨 宗因
花いけてそこに丸寝や刀鍛冶 来山
花に酔へり羽織着て刀指す女 芭蕉
何の木の花とは知らず匂ひかな 芭蕉
なほ見たし花に明け行く神の顔 芭蕉
さびしさや華のあたりのあすならふ 芭蕉
四方より花吹き入れて鳰の海 芭蕉
観音の甍見やりつ花の雲 芭蕉
花の雲鐘は上野か浅草か 芭蕉
しばらくは花の上なる月夜かな 芭蕉
一昨日はあの山越えつ花盛り 去来
夕ばえや花の波こすあらづつみ 丈草
大和路はみな奈良茶なり花盛り  許六
肌のよき石にねむらん花の山  路通
花の前に顔はづかしや旅衣 園女
白砂もいつしか暮て花の山  千代女
花に暮れて我家遠き野道かな  蕪村
叉平に逢ふや御室の花ざかり  蕪村
花ざかり六波羅禿見ぬ日なき  蕪村
花の香や嵯峩のともし火消る時 蕪村
花の影寝まし未来が恐しき  一茶
帰るさに松風ききぬ花の山 巣兆
花さくや朝めしおそき小商人 乙二
咲き満ちてこぼるご花もなかりけり 高浜虚子
花の月全島死するごとくなり  飯田蛇笏
花を見し面を闇に打たせけり 前田普羅
花影婆娑と踏むべくありぬ岨の月  原石鼎
雀来て障子にうごく花の影 夏目漱石
風呂汲みも昼寝も一人花の雨 杉田久女
墓原をかくして花のさかりかな  久保田万太郎
花万朶さゆらぎもなく蔵すもの  山口青邨
年々にわが立つ花下も定まれり  相生垣瓜人
今生の今日の花とぞ仰ぐなる  石塚友二
花明しわが死の際は誰がゐむ  安住敦
師や花やわれ鎌倉に来てゐたり  石川桂郎
花の世の花のやうなる人ばかり 中川宗淵
青空や花は咲くことのみ思ひ  桂信子
丹波山城ふた国わかつ花の塚  角川源義
碗に浮く花びら柚子も花の頃  後藤比奈夫
手をかりて腰をあげたる花の山  清水基吉
明日は死ぬ花の地獄と思ふぺし  佐藤鬼房
花の山ふもとに八十八の母  沢木欣一
良く酔えば花の夕べは死すとも可  原子公平
花の寺少女の笑ひ二間越ゆ  飯田龍太
花万朶をみなごもこゑひそめをり  森澄夫
一輪も紛れず花の咲き満ちし  清崎敏郎
永劫の途中に生きて花を見る  和田悟郎
吹き上げて谷の花くる吉野建  飴山實
長堤に花ある限り逍遥歌 渡邊千枝子
京の塚近江の塚や花行脚 角川照子
時間まだ夫婦にのこる花明り ながさく清江
谷底の宿を埋めし花の雲 安原葉
花の宿父を愛せし人に逢ふ 横山房子
篝火を消しつつ歩く花明り 岩田由美
竹林の奥の厠や花の寺 橋本鶏二
雀らも今を盛りの花の中 金箱戈止夫
花の中鐘真黒な音を出す 桂信子
雨ながら今此の時の花盛り 高浜虚子
チチポポと鼓打たうよ花月夜 松本たかし
本丸に立てば二の丸花の中 上村占魚
花の宿ゆき過ぎければ寄らで行く 星野立子
雨聞いて枕につきぬ花の宿 清原枴童
花の中雀はげしく追ひ追はれ 相馬遷子
花月夜西行思ひ父憶ふ 大橋敦子
友癒えよ雲の下なる花の雲 大木あまり
湯に浸るやうに息して花の中 渡辺純枝
花の雲ははのかたちにははの灰 柚木紀子
ちら~とちる花も見え花の雲 鈴木花蓑
間近なる一樹はふぶき花の山 藺草慶子
門燈のまはりの暗さ花の雨 渡辺文雄
鯉こくの熱きをすする花の雨 飛岡光枝
花守の白湯もて終る昼餉かな 小寺敬子
大渦に舟廻さるる花の昼 植田房子
のぞきこむ花の奈落や吉野建 長谷川櫂
花の上に浮ぶや花の吉野山 長谷川櫂
おもかげのごとくに花の庵あり 長谷川櫂
一山の留守をあづかる花盛り 岩井善子

今日の季語_春の月

大呂俳句会 投稿日:2014年3月24日 作成者: dvx223272014年3月24日

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【鑑賞】

春の月大輪にして一重なる  長谷川櫂

 朧、霞、陽炎、蜃気楼など、歳時記ではみな春の天文の季語である。気象学的な解説はともかく、共通しているのはどれもぼんやりととらえどころのないものばかり。秋の澄み渡った月が神秘的なら、春の月はたぶんに情緒的。なにやら謎めいた女性を連想させる。
 句の春の月、「大輪にして一重」と花のように月をとらえた。みごとな春の月である。(立)

*
春月、春満月、春月夜
【関連季語】
月、朧月
【解説】
月といえば秋の月のさやけさ、春の月はそれに対して、朧月に代表される月である。初春の冴えた月も、春が深まるにつれて、しだいに輪郭が不確かになる。
【分類】
三春・天文
【例句】

清水の上から出たり春の月 許六
春月や印金堂の木の間より 蕪村
春の月琴に物書くはじめ哉 其角
ふきといふ草の枕や春の月 蓼太
春の月櫻ひと枝ひろひけり 蓼太
春の月山椒の皮にむせてけり 白雄
くらき方はけぶるがごとし春の月 暁台
大ぞらにかりがねくらし春の月 暁台
春の月雉の遠音に傾きぬ 士朗
くさの戸や丸くなくともはるの月 成美
さゝやかばくもりもぞするはるの月 成美
ついそこの二文渡しや春の月 一茶
浅川や鍋すゝぐ手に春の月 一茶
春もまだ子の淋しがる月夜哉 乙二
人だかりした跡ぬくし春の月 梅室
人ならば笑ひざかりや春の月 梅室
白妙の春の月ある空紫紺 高浜虚子
暮れて越す草山一つ春の月 志田素琴
春の月けふも枯木のうしろより 渡辺水巴
おもひきや春月のぼる藪のひま 水原秋櫻子
国原や桑のしもとに春の月 阿波野青畝
蹴あげたる鞠のごとくに春の月 富安風声
外にも出よ触るるばかりに春の月 中村汀女
春の月城の北には北斗星 中村草田男
紺絣春月重く出でしかな 飯田龍太
大いなる春の月あり山の肩 杉田久女
春の月病めるが如く黄なるかな 松本たかし
春の月上がりて暗き波間かな 後藤夜半
砂の上に波ひろがりぬ春の月 橋本鶏二
肥うつて棚田しづかや春の月 前田普羅
春の月ふけしともなくかゞやけり 日野草城
春月大きふるさとに母帰り給ふ 大串章
勾玉の春月出でよ石舞台 高橋克郎
水の地球すこしはなれて春の月 正木ゆう子
春の月大輪にして一重なる 長谷川櫂
あたらしき畝光けり春の月 高田正子

片栗の花に離れて牛繋ぐ  太田土男

大呂俳句会 投稿日:2014年3月22日 作成者: dvx223272014年3月22日

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 一面に群れ咲くのが片栗の花。解説にもあるように、うつむいて咲く可憐な花である。その花を牛に踏ませまい、という配慮から「片栗の花に離れて」ということだろうか。牛一頭だけというのが少し気になる。農耕の牛というより、角突きの牛のようにも思える。(松)

——-

今日の季語_片栗の花

*
かたかごの花、ぶんだいゆり、かたばなうばゆり、かたばな、はつゆり
【解説】
ゆり科の多年草で山地などに自生する。三月から四月にかけて二葉を出し、その間から花茎をのばして紅紫色花を咲かせる。花びらは六枚。うつむいたように咲く。「かたくり」だけでは季語にならない。「片栗の花」の「花」の一字が大切。 
【分類】
初春・植物
【例句】

日洽し片栗の葉に花に葉に 石井露月
かたくりの花に夕日の端とどく 井上あい
かたくりの花を夜明けの夢つづき 井沢正江
片栗や自づとひらく空の青 加藤知世子
片栗の花の紫うすかりき 高浜虚子
足のべて休む片栗の花あれば 細見綾子
かたかごの花や越後にひとり客 森澄雄
かたくりは耳のうしろを見せる花 川崎展宏
片栗の花を咲かせて山しづか 長谷川櫂
片栗の花に離れて牛繋ぐ 太田土男
かたかごや豪商水の神祀る 野見山ひふみ
かたくりの花山靴は行くばかり 野沢節子
スタートを待つ片栗の花一列 野中亮介
片栗の一つの花の花盛り 高野素十
かたかごに銀(しろがね)の日の懸りをり 石田勝彦
かたくりの花の韋駄天走りかな 綾部仁喜
かたくりの花咲き風の斜面かな 伊藤敬子
冷えさびといふ片栗の花あかり 手塚美佐
かたくりの花の四五日遠出せず 西嶋あさ子
堅香子にまみえむ膝をつきにけり 石田郷子
かたくりや日のやはらかきひとところ 山本しほ
カテゴリー: 一句鑑賞, 使ってみたい季語

今日の季語_蝌蚪

大呂俳句会 投稿日:2014年3月21日 作成者: dvx223272014年3月21日

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【鑑賞】

富士高くおたまじやくしに足生えぬ 原石鼎

 遠景の富士山と近景のおたまじゃくしとの取り合わせ。壮大な富士とささやかなお玉杓子が釣り合いを保つのは俳句ならではのこと。

*
お玉杓子、蛙の子、蛙子、蛙生る、蝌蚪の紐、数珠子、蝌蚪の水
【関連季語】
蛙
【解説】
蛙の子である。形が杓子に似ていることからお玉杓子ともいう。
【分類】
晩春・動物
【例句】

蛙子や何やら知れぬ水の草 蝶夢
蛙子の蛙にならぬ水もなし 樗堂
かたまりて蛙子くもる沢辺かな 未鳳
蛙子の牛に嗅るゝ家陰かな 葛三
天日のうつりて暗し蝌蚪の水 高浜虚子
流れきて次の屯へ蝌蚪一つ 阿波野青畝
蛙子のほろほろかへす汀かな 阿波野青畝
川底に蝌蚪の大国ありにけり 村上鬼城
富士高くおたまじやくしに足生えぬ 原石鼎
蛙の子鮒さわがして游ぐあり 芝不器男
松風に蝌蚪生れたる山田かな 芝不器男
蝌蚪に足少しいでたる月夜かな 長谷川双魚
可愛がる甲斐なきものは蛙の子 岩田由美
蛙の子押しかたまりて安堵かな 高橋淡路女
蝌蚪がもう蛙泳ぎをしてゐるよ 山田弘子
啓蟄の四肢わすれきし蛙の子 松村蒼石
お玉杓子玉の命の一つづつ 長谷川櫂
一つ出ておたまじやくしのどろけむり 石田郷子
遠足や弁当箱で蝌蚪すくひ 植田房子

今日の季語_紅梅

大呂俳句会 投稿日:2014年3月19日 作成者: dvx223272014年3月19日

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【鑑賞】

紅梅や古き都の土の色  蕪村

 古き都は奈良だろうか。どこの土であろうと色にそう変わりはないのだろうが、いにしえの都と思えば土の色にもひとしおの感慨があるのだろう。その土の色が育てた美しい紅梅である。

*
薄紅梅
【関連季語】
梅
【解説】
梅のうち赤い花を咲かせるものをいう。白梅より少し遅れて開く。濃い色、淡い色、八重、一重などがある。
【分類】
初春・植物
【例句】

紅梅や見ぬ恋つくる玉すだれ  芭蕉 
世にゝほへ梅花一枝のみそさゞい 芭蕉 
さとのこよ梅をりのこせうしのむち– 芭蕉 
紅梅のやがてといふて日数かな   浪化 
紅梅やけふは涅槃に香をさヽげ  杉風 
紅梅の落花燃らむ馬の糞  蕪村 
紅梅や古き都の土の色 蕪村 
紅梅や比丘より劣る比丘尼寺 蕪村 
紅梅や大きな弥陀に光さす  太祗 
はなみちてうす紅梅となりにけり 暁台 
紅梅に大根のからみぬけにけり  成美 
紅梅にほしておくなり洗ひ猫          一茶 
はなみちてうす紅梅となりにけり 暁台
白梅のあと紅梅の深空あり 飯田龍太
紅梅やをちこちに波たかぶれる 飴山實
紅梅に雨多き日となりにけり 吉屋信子
紅梅に小鳥の羽を拾ひけり 高橋淡路女
紅梅のこぼるる先を海女ふたり 今井杏太郎
紅梅の明るさを通りすぎしかな 今井杏太郎
紅梅さげしをみなに道をたづねけり 室生犀星
梅に在り紅梅にある文目かな 松本たかし
紅梅にかの日かのことよみがへる 上村占魚
ひらきたる薄紅梅の空に触れ 深見けん二
思ひ出す頃を紅梅のさかり哉 正岡子規
紅梅の落花をつまむ畳哉 正岡子規
紅梅の紅の通へる幹ならん 高浜虚子
紅梅に片寄せてあるオートバイ 川崎展宏
初観音紅梅焼のにほひかな 川端茅舎
紅梅や土の埃の立つところ 大木あまり
紅梅にふはとかかりぬ晝の月 中勘助
頬白来る何かくはへて紅梅に 中村汀女
夕昏れて紅梅ことにさけるみゆ 飯田蛇笏
月光にふれ紅梅の紅を失す 福田蓼汀
剪りて置く紅梅一枝片袖めく 野澤節子
山ふかき紅梅にして雪催ひ 有働亨
紅梅を喪明けの色として見たり 鈴木真砂女
紅梅や日和の影を雲の上 長谷川櫂 
紅梅のつめたき枝をさしかはし 高田正子 
紅梅や甘酒売は湯気のなか 北側松太

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大呂俳句会は句会を通して俳句を学ぶ集まりです。

年会費は3000円、
年の途中で退会する場合でも、会費は返却いたしません。
年四回、俳誌「Dairo」を発行します。
会の運営は編集部が行います。

入会はこちらから。http://dairo.main.jp/?page_id=423

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大呂バックナンバー

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【大呂47号】2026・立春


【大呂46号】2025・立冬


【大呂45号】2025・立秋


【大呂44号】2025・立夏


【大呂43号】2025・立春


【大呂42号】2024・立冬


【大呂41号】2024・立秋


【大呂40号】2024・立夏


【大呂39号】2024・立春


【大呂38号】2023・立冬


【大呂37号】2023・立秋


【大呂36号】2023・立夏


【大呂35号】2023・立春


【大呂34号】2022・立冬


【大呂33号】2022・立秋


【大呂32号】2022・立夏


【大呂31号】2022・立春


【大呂30号】2021・立冬


【大呂29号】2021・立秋


【大呂28号】2021・立夏


【大呂27号】2021・立春


【大呂26号】2020・立冬


【大呂25号】2020・立秋


【大呂24号】2020・立夏


【大呂23号】2020・立春


【大呂22号】2019・立冬


【大呂21号】2019・立秋


【大呂20号】2019・立夏

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