今日の季語_蝌蚪
【鑑賞】
富士高くおたまじやくしに足生えぬ 原石鼎
遠景の富士山と近景のおたまじゃくしとの取り合わせ。壮大な富士とささやかなお玉杓子が釣り合いを保つのは俳句ならではのこと。
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お玉杓子、蛙の子、蛙子、蛙生る、蝌蚪の紐、数珠子、蝌蚪の水
【関連季語】
蛙
【解説】
蛙の子である。形が杓子に似ていることからお玉杓子ともいう。
【分類】
晩春・動物
【例句】
蛙子や何やら知れぬ水の草 | 蝶夢 |
蛙子の蛙にならぬ水もなし | 樗堂 |
かたまりて蛙子くもる沢辺かな | 未鳳 |
蛙子の牛に嗅るゝ家陰かな | 葛三 |
天日のうつりて暗し蝌蚪の水 | 高浜虚子 |
流れきて次の屯へ蝌蚪一つ | 阿波野青畝 |
蛙子のほろほろかへす汀かな | 阿波野青畝 |
川底に蝌蚪の大国ありにけり | 村上鬼城 |
富士高くおたまじやくしに足生えぬ | 原石鼎 |
蛙の子鮒さわがして游ぐあり | 芝不器男 |
松風に蝌蚪生れたる山田かな | 芝不器男 |
蝌蚪に足少しいでたる月夜かな | 長谷川双魚 |
可愛がる甲斐なきものは蛙の子 | 岩田由美 |
蛙の子押しかたまりて安堵かな | 高橋淡路女 |
蝌蚪がもう蛙泳ぎをしてゐるよ | 山田弘子 |
啓蟄の四肢わすれきし蛙の子 | 松村蒼石 |
お玉杓子玉の命の一つづつ | 長谷川櫂 |
一つ出ておたまじやくしのどろけむり | 石田郷子 |
遠足や弁当箱で蝌蚪すくひ | 植田房子 |