【鑑賞】
くすぐつたいぞ円空仏に子猫の手 加藤楸邨
円空は、江戸時代の乞食僧で、「円空仏」とも呼ばれる木彫りの像を数多く残した人。ごつごつした彫りあとが特徴で、仏はみなにこにこしている。句は、子猫にさわられた円空仏がくすぐったいという。にこにこ顔がいかにもくすぐったそう。
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子猫、猫の親、親猫、孕猫、子持猫、猫の産
【関連季語】
猫の恋
【解説】
春に生まれた猫の仔をいう。「猫の恋」の結末が「猫の子」ということになる。
【分類】
晩春・動物
【例句】
猫の子や秤にかかりつつじやれる | 一茶 |
猫の子のくんずほぐれつ胡蝶かな | 其角 |
スリッパを越えかねてゐる仔猫かな | 高浜虚子 |
黒猫の子のぞろぞろと月夜かな | 飯田龍太 |
すでに名の付きし仔猫をもらひ来し | 片山由美子 |
百代の過客しんがりに猫の子も | 加藤楸邨 |
くすぐつたいぞ円空仏に子猫の手 | 加藤楸邨 |
貰はれる話を仔猫聞いてをり | 上野泰 |
子猫ねむしつかみ上げられても眠る | 日野草城 |
猫の子のおもちやにされてふにやあと鳴く | 行方克巳 |
さまざまな恋の果なる子猫かな | 長谷川櫂 |
降ろされて畳こはがる仔猫かな | 長谷川櫂 |
神妙に猫語ききゐる子猫かな | 本吉良治 |
草の上に置かれし仔猫鳴きにけり | 山尾玉藻 |
眠りゐる子猫をそつともらひけり | 山田寿美子 |
生れてまだ二夜の命子猫かな | 伊藤衣紅子 |
仔猫らに始めての鈴春障子 | 岩井善子 |