今日の季語_雛祭

*
雛、ひいな、雛飾、雛人形、雛の調度、雛道具、雛屏風、雛段、雛の膳、雛の酒、紙雛、立雛、内裏雛、享保雛、変り雛、糸雛、菜の花雛、京雛、木彫雛、官女雛、五人囃、雛箱、初雛、古雛、雛の燭、雛の宴、雛の宿、雛の客、雛椀
【関連季語】
桃の節句、上巳、雛市、雛流し、雛納め
【解説】
三月三日の節句、女の子のすこやかな成長を願い雛人形を飾る。白酒や雛あられを雛壇に供え、それをいただいて祝う。
【分類】
仲春・生活
【例句】
| 草の戸も住み替はる世ぞ雛の家 | 芭蕉 |
| むさい家との給ふやうな雛哉 | 一茶 |
| 大寒と云顔もあり雛たち | 一茶 |
| 御雛をしやぶりたがりて這子哉 | 一茶 |
| 菱餅や雛なき宿もなつかしき | 一茶 |
| 雛祭り娘が桐も伸にけり | 一茶 |
| かづらきの神はいづれぞ夜の雛 | 其角 |
| 上座ほど雛のすがたの新なり | 其角 |
| 綿とりてねびまさりける雛の貌 | 其角 |
| 葛飾や雛もわたすわたし守 | 白雄 |
| 蝋燭のにほふ雛の雨夜かな | 白雄 |
| 振舞や下座になをる去年の雛 | 去来 |
| 桃の日や雛なき家の冷じき | 几董 |
| 酔さめやほのかに見ゆる雛の顔 | 暁台 |
| 雛の宴五十の内侍酔れけり | 召波 |
| 掃あへぬ桃よさくらよ雛の塵 | 太祇 |
| 紙雛やおぼつかなくも目鼻立ち | 存義 |
| たらちねの抓(つま)までありや雛の鼻 | 蕪村 |
| 古雛やむかしの人の袖几帳 | 蕪村 |
| 箱を出る顔わすれめや雛二対 | 蕪村 |
| 雛祭る都はづれや桃の月 | 蕪村 |
| 衣手は露の光りや紙雛 | 蕪村 |
| 雛の燈にいぬきが袂かゝるなり | 蕪村 |
| とぼし灯の用意や雛の台所 | 千代尼 |
| 鑓もちや雛のかほも恋しらず | 千代尼 |
| はなさけり古きを祝ふ雛の宿 | 青蘿 |
| 雛恋ふる親のこゝろや夜の鶴 | 青蘿 |
| 鶴も巣を今日かけ初めむ雛の宿 | 青蘿 |
| 雪信が屏風も見えつ雛祭り | 几董 |
| 桃桜白髪の雛もあらまほし | 蓼太 |
| みなし子のひとりで遊ぶ雛哉 | 正岡子規 |
| 人は寝て雛がはやしの太鼓哉 | 正岡子規 |
| 灯ともせば雛に影あり一つづゝ | 正岡子規 |
| 雛の影桃の影壁に重なりぬ | 正岡子規 |
| 雛祭る節供になりて春の雪 | 正岡子規 |
| おびたゞしく古雛祭る座敷かな | 正岡子規 |
| 伏して念ふ雛の如き御契 | 正岡子規 |
| もたれ合ひて倒れずにある雛かな | 高浜虚子 |
| 好もしく低き机や雛の間 | 高浜虚子 |
| 謡ひやめ雛の客を迎へけり | 高浜虚子 |
| 古雛を今めかしくぞ飾りける | 高浜虚子 |
| 雛たち寛ぎ給へ燈を消さむ | 高田蝶衣 |
| 二人して雛にかしづく楽しさよ | 夏目漱石 |
| 仕立もの持て行く家や雛の宵 | 夏目漱石 |
| 太刀佩て恋する雛ぞむつかしき | 夏目漱石 |
| 雛殿も語らせ給へ宵の雨 | 夏目漱石 |
| 雛の眼の遠い空見ておはすなり | 臼田亜浪 |
| 壁かげの雛は常世に冷たうて | 臼田亞浪 |
| 淡雪や女雛は袂うち重ね | 臼田亞浪 |
| 豆雛が箪笥の上に忘られて | 臼田亞浪 |
| 調度みな掌上のもの雛飾る | 皆吉爽雨 |
| 君に似よ我に似よとて雛まつり | 会津八一 |
| 娘多き真宗寺の雛かな | 会津八一 |
| 母の雛最も古りて清くあり | 原石鼎 |
| 雛買うて杣雪山へ帰りけり | 原石鼎 |
| 人の世の塵美しき雛調度 | 後藤比奈夫 |
| だんだんに暮れゆく雛の目鼻かな | 阿部みどり女 |
| 天平につながる雛に雪の翳 | 阿部みどり女 |
| 戦ひの世に飾らるる雛かな | 阿部みどり女 |
| 朱唇ややあけてやさしき雛かな | 阿部みどり女 |
| 父の画に母の賛あり初雛 | 阿部みどり女 |
| 草庵ににはかの客や貝雛 | 阿部みどり女 |
| 藤色の揃ひ座布団雛の前 | 阿部みどり女 |
| 雛の日を仏と居りて足らひたる | 阿部みどり女 |
| 雛まつりしづかなる日の海荒るる | 阿部みどり女 |
| 紙雛の薄きを人の裏返す | 右城暮石 |
| いきいきと細目かがやく雛かな | 飯田蛇笏 |
| 雛の日や遅く暮れたる山の鐘 | 飯田蛇笏 |
| 山の雪すでにまばゆし雛祭 | 相馬遷子 |
| いとほしや髪そゝくれて古雛 | 高橋淡路女 |
| かんばせのあはれに若し古雛 | 高橋淡路女 |
| むらさきに暮るゝ障子や雛の窓 | 高橋淡路女 |
| 在原雛の調度の料紙硯箱 | 高橋淡路女 |
| 庭芝をうるほしやみぬ雛の雨 | 高橋淡路女 |
| 後の雛調度乏しく飾りけり | 高橋淡路女 |
| 文筆を愛す机に貝雛 | 高橋淡路女 |
| 睦まじく立て添はせけり紙雛 | 高橋淡路女 |
| 貝雛やまこと妹背の二人きり | 高橋淡路女 |
| 青丹よし奈良の土産の木彫雛 | 高橋淡路女 |
| 函を出てより添ふ雛の御契り | 杉田久女 |
| 古雛や花のみ衣の青丹美し | 杉田久女 |
| 土雛ありとしもなきあぎと哉 | 前田普羅 |
| 衣手の松の色はえ木彫雛 | 水原秋桜子 |
| 古雛は着ぶくれたまふ佳かりけり | 水原秋櫻子 |
| 天平のをとめぞ立てる雛かな | 水原秋櫻子 |
| みぞれきて戦の国の雛若し | 渡邊水巴 |
| 太平洋浪高し雛は照りたまふ | 渡邊水巴 |
| 箱を出て初雛のまゝ照りたまふ | 渡邊水巴 |
| 古雛の見知り顔しておはしけり | 上村占魚 |
| 戸をくれば襖の奥の雛かな | 上村占魚 |
| 有へぬる古き匂ひの雛哉 | 松瀬青々 |
| だいがさをかたげて老いし雛かな | 久保田万太郎 |
| 旅人ののぞきてゆける雛かな | 久保田万太郎 |
| 雛かざるなかに髪結来りけり | 久保田万太郎 |
| よき雛の數多からず飾りたる | 松本たかし |
| 仕(つかまつ)る手に笛もなし古雛 | 松本たかし |
| 雛すぎの障子閉ざされしづかかな | 柴田白葉女 |
| 雛らの見てゐる暗き雨の海 | 木下夕爾 |
| 土雛は干菓子の色でありにけり | 京極杞陽 |
| 年の頃十六七の雛かな | 京極杞陽 |
| 雛舟の二艘といふもあはれなり | 京極杞陽 |
| 女の雛の髪ほぐれつつ波の間に | 山口誓子 |
| 男の雛もまなこかぼそく波の間に | 山口誓子 |
| 畳よりすぐに真紅に雛の段 | 中田みづほ |
| 軒風や雛の顔は真白なる | 内田百間 |
| 碧空に山するどくて雛祭 | 飯田龍太 |
| 雛の灯四方の山々夜明けつつ | 飯田龍太 |
| 雛の前今誰もゐず坐り見る | 星野立子 |
| 流し雛堰落つるとき立ちにけり | 鈴木花蓑 |
| 雛の饌落ちてあとより流れゆく | 山口誓子 |
| 峡の子の数淋しさよ流し雛 | 相馬遷子 |
| 日当りてさびしかりけり捨雛 | 山口青邨 |
| 流し雛ひとびと業を重ねつつ | 後藤比奈夫 |
| たち騒ぐ加太の浦波流し雛 | 稲垣きくの |
| 流し雛天を仰ぎて押し黙り | 原裕 |
| 紀の川の濁りし雛流しかな | 加藤三七子 |
| 流し雛見えなくなりて子の手とる | 能村登四郎 |
| 雛流し沖に白浪立つが見ゆ | 細見綾子 |
| 明るくてまだ冷たくて流し雛 | 森澄雄 |
| 流し雛に水どこまでもうす明り | 鷲谷七菜子 |
| 捨雛傾ぎて笛を手離さず | 大串章 |
| 天仰ぎつづけて雛流れゆく | 大橋敦子 |
| 流し雛手向けの花も濤の上 | 岡本眸 |
| 雛納め雛のあられも色褪せて | 高浜虚子 |
| 水茎の古りにし反古や雛をさめ | 松本たかし |
| 来の宮は日かげの宮よ納め雛 | 星野立子 |
| なか空や鳶のふゑ鋭く雛をさめ | 石橋秀野 |
| 綿々とをみなの情や雛納め | 西島麦南 |
| あたゝかき雨夜の雛を納めけり | 西島麦南 |
| 我が膝に立ちたまふなれ納め雛 | 阿波野青畝 |
| 雛しまふことおつくうに過しけり | 阿部みどり女 |
| 雛しまへばぽつぽつ雨や桜餅 | 阿部みどり女 |
| 紐すこし貰ひに来たり雛納め | 能村登四郎 |
| 母死にしその夜や雛納めけり | 岸田稚魚 |
| 美しきほこりの中に雛納 | 今井つる女 |
| あかあかと天地の間の雛納 | 宇佐美魚目 |
| 眼を開けてゐるままの雛しまひけり | 今瀬剛一 |
| 笹までの小径の見ゆる雛納 | 斉藤夏風 |
| 白絹は葬りのごとし雛をさめ | 井沢正江 |
