一句を読み解く55

世の人の見付ぬ花や軒の栗 芭蕉
栗の木の下に庵を結んだ僧_桑門(そうもん)への挨拶句である。したがって「世の人の見付ぬ花」は隠棲の桑門の喩えでもある。
梅雨どきの栗の花、いよいよ緑濃き野山にあってその淡々とした白黄色は、「見つけぬ花」どころかかなり目立つ花である。「世の人の見付ぬ花」は見つけにくい花というより、地味な花と解釈すべきであろうか。
『伊達衣』には
かくれ家や目だたぬ花を軒の栗 芭蕉
とあり、『曾良書簡』には
隠れ家やめにたたぬはなを軒の栗 翁(芭蕉のこと)
とある。(kinuta)
