一句を読み解く37
葉桜や蕎麦屋でたのむ玉子焼 鈴木真砂女
上五を「や」で切って、下五を体言で止めるがっしりとした形の俳句である。建築物なら太い大黒柱が貫く切妻の家というところだろうか。がっしりしているだけに融通の利かない形、動きがないだけに説明に陥りやすいともいえる。
句も、どんな玉子焼きなのか説明はしているが「蕎麦屋でたのむ」に意外性があって、読み手を「おや」という気にさせる。ちょっとした発見であろうか。
初夏の光をさえぎる葉桜の温度感と蕎麦の冷たさが合い響きあう。(kinuta)