一句を読み解く27

よこたへて金ほのめくや桜鯛 阿波野青畝
格を詠む。誉れ高く詠む。こころ栄えを詠む。
詠まんとする季語にもよるが、俳句の醍醐味はその季語の持つ格調を引き出すことかもしれない。青畝の句も「金ほのめく」と桜鯛を讃える。食べ物はおいしそうに、命あるもの、生活に根ざしたものは生き生きと、風景は晴れ晴れと、志の高い俳句とはそういうものであろう。それでは格調高い句をいくつか。(kinuta)
| 風流の初めや奥の田植歌 | 芭蕉 |
| 京にても京なつかしやほととぎす | 芭蕉 |
| 菜の花や月は東に日は西に | 蕪村 |
| 夏痩の骨にとゞまる命かな | 正岡子規 |
| 木曽川の今こそ光れ渡り鳥 | 高濱虚子 |
| 土不蹈ゆたかに涅槃し給へり | 川端茅舎 |
| 羅をゆるやかに着て崩れざる | 松本たかし |
| 谺して山ほととぎすほしいまゝ | 杉田久女 |
| 吹き上げて谷の花くる吉野建 | 飴山實 |
| 冷し酒この夕空を惜しむべく | 長谷川櫂 |
| 鯛めしやほのかにうごく花の色 | 飛岡光枝 |
| どの星も一つ年取り除夜の鐘 | 岩井善子 |
