一句を読み解く9

夜遊びへ猫の出でゆく朧月 太田土男
恋をしに行く猫である。限りなく季重なりに近いが、「夜遊びの猫」とぼかして見せることで季重なりをむしろ逆手にとっている。季重なりに近いところで生まれる味わいのある俳句である。
妻につく眠りの神や春炬燵 長谷川櫂
(眠りの神—「春眠」)
ゆるやかに着てひとと逢ふ螢の夜 桂信子
(ゆるやかに着て—「浴衣」「羅」)
火を投げし如くに雲や朴の花 野見山朱烏
(火を投げし如くに雲—「夕焼」)
生きものに眠るあはれや竜の玉 岡本眸
(生きものに眠るあはれ—「冬眠」)
秋風や積まれて軽きお斎膳 岩井善子
(積まれて軽きお斎膳—「秋彼岸」)
(kinuta)
