一句を読み解く2

蔓垂れて秋の泉となりにけり 河村蓉子
蔓がたれたがゆえに→秋の泉になった、というのはかなり強引な導きである。句は、原因(蔓垂れて)と結果(秋の泉となりにけり)というきわめて単純な構造、単純がゆえに直線的、直線的がゆえに断定的である。「なりにけり」という力強さを引き受けるだけの説得力が「蔓垂れて」にあるかどうか、焦点がそこだけに絞り込まれた俳句らしい俳句とも言える。「紅葉して秋の泉となりにけり」では当たり前。当たり前からどれだけ飛躍できるかが、この形のかなめ。切字「けり」を最大限に生かした俳句であろう。
石にのり秋の蜥蜴となりにけり 飴山實
妻入れて春の炬燵となりにけり 長谷川櫂
この形でぜひ一句を。
高々と秋の燕となりにけり
雨だれの春の庵となりにけり (kinuta)
