一句を読み解く218
この俳句には大きな余白がある。その余白に作者の思いを垣間見ることができるから俳句はおもしろい。「親子でもなく」という描写があるから、ぶらんこの二人は、親子くらいは年が離れているということになる、五歳と三十歳くらいかもしれないし、三十歳と六十歳くらいかもしれないが、年齢はさして重要ではない。重要なのは「親子でもなく」という否定の裏に見え隠れする「まんざら他人とも思えない」という情感である。なんとなく気になる隣りのひと、これがこの句の要といってもいいであろう。見えないものを見せる力、語らないものを語らせる力、これが俳句の醍醐味ではなかろうか。(m)「季語-ぶらんこ(春)