
さまざまの事情から引っ越す事になった。想像はしていたが、明らかに想定していた以上の荷の多さに我ながら呆れる。理想は昭和の頃のシンプルな生活。卓袱台と茶箪笥、箒とはたき、盥と洗濯板とまでは言わないが、卓袱台をたたんで布団を敷いて寝る。ものが少なければ片付ける手間もはぶける。いったい何時からこんなに物が増えたのだろう。探し物をする度に物に支配されているような腹立たしさに駆られる。一番悪いのは自分だ、わかっているぶん自分に腹がたつ、が人に指摘されればもっと腹が立つ。人の心とは何と厄介なものなのだろう。
この際大いに整理したいと考えるが、なかなか進まない。人様から見ればたいしたことでもない物、つまらない物が当人にとっては大切なのだ。だがちょっと待て、ダンボールに物を詰めつつふと頭をよぎったものがある。これでは自分の下手な俳句と同じではないか。あれもこれもと言葉を詰め過ぎ言わずもがなのことを言う。物が整理できなくて、どうして言葉が整理できようか。と思っては見たものの実践は難しい。考えて考えてまた一つまた一つダンボール箱がふえる。(立)







