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カテゴリーアーカイブ: 一句鑑賞

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種蒔けば天をかぎりの夕焼ぞ  大野林火

大呂俳句会 投稿日:2018年4月19日 作成者: dvx223272018年4月19日

 季語の種蒔は稲作のための種蒔である。他の作物の種蒔は「物種蒔く」や具体的な植物名を入れて「胡瓜蒔く」などということになる。句の「天をかぎりの」は空一面の夕焼のこと、種蒔を終えてほっとしているひとときであろうか。(m)

高々と蝶こゆる谷の深さかな  原石鼎

大呂俳句会 投稿日:2018年4月18日 作成者: dvx223272018年4月18日

 中七が八の字余り。「蝶こゆ谷の深さかな」と帳尻を合わせたいところであるが、それでは「蝶こゆ/谷の深さかな」と切れてしまう。字余りになっても「越ゆる」と連体形で下へ繋げることが大切である。(m)

囀や豆腐の水に松の塵  長谷川櫂

大呂俳句会 投稿日:2018年4月13日 作成者: dvx223272018年4月13日

 鳥の鳴き声は四季を通じて聞くことができるが、季語としての「囀」は繁殖期を迎えた雄が雌を呼び寄せるための鳴声である。春ののどかな山野にかろやかな音を添えてくれるが、鳥にしてみれば子孫をのこすための、それこそ血のにじむような必死な鳴声なのであろう。句の「豆腐の水」、清らかな湧き水であろうか、豆腐もその土地土地の水で味や固さが微妙に異なるという。豆腐が沈む桶に浮かぶ真青な松葉、風によって舞い込んだものかそれとも粋な豆腐屋のはからいによるものか。(m)

鶏の坐敷を歩く日永かな  一茶

大呂俳句会 投稿日:2018年4月11日 作成者: dvx223272018年4月11日

 戸や障子をあけ放っているから鶏も座敷に舞い上がってくる。卵を産んでくれる鶏も家族の一員であろうか。(m)

牡丹の芽にくれなゐの寒さあり  飯田龍太

大呂俳句会 投稿日:2018年4月10日 作成者: dvx223272018年4月10日

 「くれなゐの寒さ」がこの句のすべて。牡丹の芽をよくよく眺めていてもこのフレーズは浮かんでこない。細見綾子の「くれなゐの色を見てゐる寒さかな」に通じているのであろうか。(m)

鎌倉の月まんまるし沈丁花  高野素十

大呂俳句会 投稿日:2018年4月9日 作成者: dvx223272018年4月9日

 「沈丁花」を詠んだ句は夜の句が多い。花の姿かたちが判然としない夜の闇、それでも沈丁花は強い香りを放ちながら、その存在を主張する。句の焦点は高々と上がった月、目線は上に向けられているが、沈丁花の存在は濃厚である。(m)

置きどころなくて風船持ち歩く  中村苑子

大呂俳句会 投稿日:2018年4月8日 作成者: dvx223272018年4月8日

 手を離せば飛んでゆくゴム風船なのだろう。欲しくもないのに誰かから渡されたのかもしれない。(m)

花冷はかこちながらも憎からず  富安風生

大呂俳句会 投稿日:2018年4月7日 作成者: dvx223272018年4月7日

 「かこち」は漢字をあてると「託ち」である。意味は、こぼしなげくこと。「花冷」は嫌だな、という「かこち」だが、「憎からず」と打ち消している。「この女かこちながらも憎からず」そんなフレーズが思い浮かぶような一句である。(m)

麗かや松を離るる鳶の笛  川端茅舎

大呂俳句会 投稿日:2018年4月6日 作成者: dvx223272021年3月31日

 「麗か」は春の陽光をほめたたえた季語、松に止まっていた鳶が甲高い鳴き声とともにまばゆい空の高みにあがってゆく。(m)

つばさあるもののあゆめり春の土  軽部烏頭子

大呂俳句会 投稿日:2018年4月5日 作成者: dvx223272018年4月5日

 歩くのが得意の鳥と、ほとんど歩かない鳥がいる。雉や雀などは前者で燕などは後者になる。句は「つばさあるもの」と鳥を特定せずに読者の想像にゆだねている。(m)

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