一句を読み解く70

水澄みて金閣の金さしにけり 阿波野青畝
金閣寺が水に映っているというだけの俳句である。「水澄みて」の「て」がかなめで「水が澄んだがゆえに」という意味になる。金閣寺は四季を通じて池に映っているのだから強引といえば強引のみちびきであるが、青畝の句はその強引さを感じさせない。金閣寺の気ぐらいの高さと「水澄む」という清涼感のある季語がよくあっているからであろう。
「金閣寺が水に映っている、それを俳句にせよ。ただし季語は「水澄む」である。」そんな設問から生み出されたような一句である。(松太)
