季語散策9 梅雨
今年の梅雨明けは例年より早く、関西や東京では連日の猛暑で熱中病の患者が急増とか。始まったばかりの夏にもうばて気味です。
さて、早く上ってしまった梅雨ですが、俳句の季語の「梅雨」は雨そのものをさすものではないことをご存知ですか。日常の会話で「梅雨」といえば雨そのものを言うことが多いのですが、季語の「梅雨」は立春から百三十五日目の入梅から三十日間をさしています。この時期に降る雨そのものを言う時は「五月雨(さみだれ)」を用います。梅雨は限りなく「天文」に近い「時候」の季語なのです。
草の戸の開きしまゝなる梅雨かな 高浜虚子
うしろより忽然と日や梅雨あがる 加藤楸邨
まきかけの梅雨の歌仙となりにけり 久保田万太郎
ふりつづく梅雨の底ひに伊賀の国 橋本鶏二
うすあかねして夕雲や梅雨の果 原石鼎
火の屑をこぼして梅雨の造船所 五十嵐播水
きらきらと梅雨も終りの山の雨 今井杏太郎
(立)
