季語散策8 夕立

夏の夕方のにわか雨のこと。雷をともない激しく降る。短時間で降り止むことが多く、雨の後、虹がたつこともある。
——-
本願寺の屋根を襲へる夕立かな 日野草城
あまりに絶大な権力を持ったため、時の権力者から西と東に分けられた本願寺。聳え立つ大屋根を襲う夕立に、圧倒的な天の力を見せつけられたかのよう。
一山を洗ひだしたる夕立かな 飴山實
誰もが体感する夕立のあとのすがすがしさ。暑さでぼんやりとしていた山々の輪郭がすっきりと現れる。まさに、洗いたてのような爽快感。
夕立にうたるる鯉のかしらかな 正岡子規
ポツポツとあたりはじめた大粒の雨は、やがて草の葉や水面を叩き始め、あっという間に激しさを増す。池の水面は白く波立ち、ほっかりと浮かんだ鯉は夕立に叩かれまた水底へ。上質な日本画を見る思い。
夕立のあと夕空の残りけり 今井杏太郎
夕立の一騒ぎのあと、暑苦しい蝉の声もやんで静かな夕暮れが訪れる。ほんの一時の安堵感。誰もが持つ心の動きをさっと掬いとったような句。
(立)
