一句を読み解く53

薫風や鷺白き花さながらに 長谷川櫂
句の「さながらに」は「何々のごとし」や「何々のように」と同様に、直喩をみちびく働きを持つ。「白き花のごとくに鷺」「白き花のやうな鷺」「白き花さながらに鷺」なのである。「白き花さながらに美しく舞ひ飛ぶ」くらいの解釈が妥当なところだろうが、それでは俳句が面白くならない。「白き花さながらにはかない」「白き花さながらにあやうい」と、その辺まで穿ってもよさそうである。薫風に舞い飛ぶ鷺の背後には、鷺の孤独を感じさせるような真っ青な空があって、空との対比がなおのこと「花さながら」を印象付ける。(kinuta)
