一句を読み解く29

菜の花や西の遥かにぽるとがる 有馬朗人
取り合わせの句である。実体のある季語「菜の花」に、虚である「ポルトガルへの思い」をあしらえているが、「ポルトガルへの思い」に隠れているのは「広大な海原」である。大航海時代のポルトガルを栄えさせた、時空を越えた海原といってもいいであろう。「西の遥かにぽるとがる」が、それとなく海を感じさせるのである。
蕪村は「菜の花や月は東に日は西に」と菜の花をおおらかに詠んだが、掲句は虚と「菜の花」を取り合わせることで、さらに大きな世界を描いて見せた。(kinuta)
