一句を読み解く24

呑明て花生にせん二升樽 芭蕉
「せん」は「為ん」と漢字を当て、「意思」を表す。酒を飲みあけて、その器を花入れにしようではないか、という句である。意思の助動詞「ん(「む」と書く場合もある)」が思いを強調する。「呑明て花生となる二升樽」よりも、はるかに躍動感のある俳句となる。では「せん」の俳句をいくつか。(kinuta)
| 月さびよ明智が妻の話せん | 芭蕉 |
| 梅干と皺くらべせんはつ時雨 | 一茶 |
| ほうらいの山まつりせむ老の春 | 蕪村 |
| 冬籠長生きせんと思ひけり | 正岡子規 |
| 犬吠の今宵の朧待つとせん | 高浜虚子 |
| 良寛にまりをつかせん日永哉 | 夏目漱石 |
| 飛鳥人と恋をせん奈良の朧月 | 中勘助 |
| 芒種なり水盤に粟蒔くとせむ | 草間時彦 |
| 寺涼し牛になるまで熟睡せむ | 渡辺文雄 |
| 露の世の身養とせむ衣被 | 伊藤イサオ |
| 半椀はお茶漬にせん蜆飯 | 長谷川櫂 |
| 青竹の筒ひびかせん新走り | 長谷川櫂 |
| 枕にせん色とりどりの菊摘みて | 北側松太 |
