からうじて鶯餅のかたちせる 桂信子

鶯餅は餡をうぐいすいろの餅または求肥でつつんだもの、中にはうぐいすの形に整えるものもある。
句の鶯餅も鶯の姿に似せて作られたものであろう。「からうじて」というからには、かなり不器用な仕上がりということだろうか。「からうじて」という副詞がうまく生きた一句である。
それでは、副詞を使った句をいくつか。(kinuta)
【ことさら】
目にかゝる時やことさら五月富士 芭蕉
【金輪際】
金輪際わりこむ婆や迎鐘 川端茅舎
【しだいに】
鳶の輪のしだいに小さし秋の空 岩井善子
鴨南の葱したたかに焦げ目あり 岩井善子
【すつく】
大木のすつくと高し冬の門 正岡子規
【すなはち】
藻の香してすなはち鮎をたうべけり 飴山實
青芒すなはち風の吹きおこる 長谷川櫂
奈良団扇すなはち白を選びけり 長谷川櫂
【せつに】
夢の中鱈汁せつに湯気あぐる 飴山實
【せめて】
最う一度せめて目を明け雑煮膳 一茶
酒うすしせめては燗を熱うせよ 高濱虚子
【そつと】
薄氷にそつと触りてゆく子かな 内田朋子
【ともかく】
ともかくもあなた任せのとしの暮 一茶
ともかくもならでや雪の枯尾花 芭蕉
ともかくもこの冬越してからのこと 新井健氏
【なかんづく】
就中学窓の灯や露の中 飯田蛇笏
【ひねもす】
春の海ひねもすのたりのたりかな 蕪村
【ひもすがら】
ひもすがら外に作務ある昭葉かな 飴山實
【やがて】
投網打やがて花野にあがりけり 飴山實
やがてさす月の光や衣被 長谷川櫂
昼に出てやがて夕月花こぶし 北側松太
