雑煮
多くの郷土食がすたれてゆく中で、今もってお雑煮ほどその地方の特色を保っているのは珍しいといえるのではないだろうか。文字面をみると「ざつに」である。これは「年夜」のエッセイでもふれたが、「年神」さまにお供えした様々の食べ物のお降りを取り混ぜて煮こみ、皆でいただく事から来ている。
南北に長い日本では、北と南では採れる産物もおのずと違ってくる。それゆえ、「年神」さまのお供えはその地方によっても違いがあり、当然お雑煮の中身も違う。越後の年越しに欠かせない鮭も富山あたりでは鰤になり、青森では鱈になる。お餅にいたっては丸餅、切り餅、焼く、茹でると千差万別。
何が良いかではなく、その年の神様に、その年の採れた物をお供えし、みなでお降りをいただく。もともと、収穫に感謝する思いこそが、その本質ではなかったろうか。(立)
