まいまい句会感想①
なみなみと地酒を酌めば雁渡る 百合
俳句をつまらなくする要因の一つに条件づけがあります。それは○○をすれば○○をしてなど。句が単なる報告で終わってしまいがちです。今回頂いた句の中で「酒二合三合釣瓶落しかな」と言うのがありました。「なみなみと・・・・」と似ているのですが、此方は、二合三合の酒に季語をポンと置いている事です。例えばこの句を「酒三合酌めば釣瓶落しかな」とするとどんなにつまらなくなってしまうか。原句をそのまま釣瓶落しの句に当てはめれば、「酒二合三合雁の渡る頃」。物足りないと作者は思うでしょうが、飲むとか酌むとか言わなくても句を読めばお酒を呑んでいるのは解ります。言い過ぎない事それは読み手に想像する余地(余韻)を残す事です。そしてもっと大事なのが「酌めば」をとって「酒二合三合」と表現したことです。この苦労が俳句を作る事ではないでしょうか。また、作句は写生も大切ですがそこから想像して句を作る事も大事です。雁渡る頃お酒が美味しいそんな俳句を作りたいと思ったら、酒蔵とかお酒にまつわるものに想像を巡らせて例えば「酒蔵の杉玉の青し雁渡る」などいろいろ考えてみてはどうでしょう。
(律)