まいまい句会感想②
城落ちて茶道は残る利休の忌 泉太郎
これも、城は亡くなったが茶道は残りました。と報告をしているだけの句です。特にこの句の場合、「茶道は残る」がいりません。理屈が見え隠れします。
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銀輪を追い越す速度夏燕 政己
「銀輪を追い越す速度」が何とも説明的で面白くありません。ここを工夫しないと俳句にはなりません。「自転車ををさつとかすめて夏燕」「自転車をひらりとかわし夏燕」くらいですが、新鮮味に欠けます。
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鯉の背の細く分けゆく花筏 真紀子
出来ているのですが、「細く分けゆく」の「細く」がこまかすぎるようです。
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見頃過ぐ藤棚の風なほやさし 朝男
「見頃すぐ」が時間の経過を説明しているようで、良くありません。俳句にするには「花散つて」と置きましょう。写真のように景色を切り取る事が大切です。
また、「風なほやさし」が安易な言い回しです。例えば「花散つて藤棚の風新しく」などとしてもちょっと常套です。
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目覚めれば潮騒朱欒の花の島 葦たか
「目覚めれば」が報告です。また、「朱欒の花の島」は少し窮屈な言い方に感じます。「朱欒の花咲く島」と言いましょう。このままを句にするなら「潮騒や島に朱欒の花咲いて」です。
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虎杖は遠きにありてこそ美味き 一穂
わかったようでわからない句です。なぜ、虎杖が遠くにあると美味しいのでしょうか。子供の時食べた虎杖が美味しかったならそのように句にすべきで、このままでは意味が解りません。
犬を連れ犬に連れられ薺径 一穂
犬に連れられとあれば、「犬を連れ」は不要です。「犬に連れられ薺径」だけで十分です。また、「径」も要りません。径とつけてもこの句では全く径に効果はありません。俳句は不要な言葉をとことん削ぎ落とす事です。ですから「犬に連れられ薺かな」とした場合不足の五文字をどうするか。その時何に焦点を当てて俳句にするのか、例えば犬に焦点を当てれば、「ぐんぐんと犬走り出す薺かな」
とか、不足の五文字を考えるのが俳句です。
(立)