まいまい句会感想③
妻残すあんこも頂く柏餅 新米
柏は古来樹木を守る葉守りの神が宿るとされた神聖な木です。新米さんの句は五七五にはなっていますが、創作性に欠けるきらいがあります。歳時記を読み例句を勉強されるのも良いと思います。
「柏餅古葉を出づる白さかな」渡辺水巴
「手造りのしかも味噌味柏餅」草間時彦
「たたみたる葉の起き上がる柏餅」三河まさる
妻残すの句は柏餅でも草餅でも出来てしまいます。これは「妻残すがあんこ」が句としてが出来ていないからです。
天守閣信長ワインの夕涼み 新米
意味が解りません。
ババ描くジジ句をひねる鯉のぼり 新米
鯉のぼりの季語をかえてもなんでもついてしまいます。例えばありそうな景色として季語を炬燵などに変えても面白みのある句にはなりません。
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青嵐世阿弥も流人佐渡ヶ島 妻有
十日町ゆかしき羅織る機の音 妻有
魚沼にこしひかり有り田植歌 妻有
JRのポスターのキャッチフレーズのようになってしまいました。
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石窯を出て初夏のピザとなる ひとみ
雰囲気はあるのですが初夏が効いていません。「石窯を出てピザとなる若葉かな」
老舗なるホテルへ銀杏若葉かな ひとみ
これも、銀杏若葉でなくても良いように思います。
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葉桜や登校の子に深き影 ひろし
「登校の子に深き影」が解ったようで解りません。
毎回感想を書かせて頂いていますが、ご自分の句だけでなく、他の方の感想も参考になさって下さい。
自分の気持ちを句にするにしても、写生にするにしても、表現が安易にならないようにするの事が大切だと思います。その上で多くの読み手の共感を得る事。句が常套にならないように推敲してみて下さい。
季語が効いていないのはほとんどが当たり前の事しか言っていないからです。一見できた俳句のように思いますが、上五中七あるいは、下五中七に本当にこの季語で良いかもう一度考えてみる事が大切だと思います。
(立)