まいまい句会感想③
庭先の長きお喋りチューリップ くに
「庭先の」がお決まりの措辞、無駄な言葉です。
お喋りは何時間でもチューリップ
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桜餅湿りたる葉の香りかな たかし
桜餅の葉が湿っているのは当然ではないでしょうか。
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後ろから口笛の音花菜道 たかし
「口笛の音」の音が不要です。口笛とあれば「聞こえる」も「音」も多くの場合入りません。文字が不足だからと「音」を入れてしまうと、俳句がつまらなくなります。
後ろから口笛花菜の小径ゆく
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大島をさらさら縫へば春深し ひとみ
出来ている句なのですが、今一つ面白みに欠ける句です。例えばですが、「縫ひ直す母の大島春深し」とかもう少し句の内容を深める工夫をなさると良いと思います。
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張りぼての白象曳くや花まつり ひろし
「白象の糸のまなじり仏生会 長谷川櫂」と言う句かあります。花まつりと白象は付きすぎのように思いますが、引用句は「糸のまなじり」と言った事で、つきすぎの感を避けています。「張りぼての白象曳くや花まつり」は花まつりで張りぼての白い像が曳かれて行くその様子を全て言ってしまいました。以前にも申し上げましたが、俳句を日本画に例えれば余白(読み手の想像する余地)がとても大切です。「白象の糸のまなじり」に「仏生会」と置いたことによって張り子の象であることがわかりますし、花まつりの感じも伝わってきます。句が出来たら自分で推敲を重ねる事が大切です。
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春の雨母に添ひ寝の姉妹 ほしくづ
「春の雨」の季語生きていません。想像するに、伏せているお母さんにご姉妹が添い寝をしているのでしょうか、もう少し心を働かせた言い方があると思います。斎藤茂吉の「死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる」という歌があります。句からはどのような状況なのかはわかりませんが、もしそんな重大な事であるったなら、ご自分の心から出てくる気持ちを大切にそれを言葉で表現する努力が必要ではないでしょうか。
(立)