使ってみたい季語5 名越の祓 茅の輪 形代
旧暦六月晦日に行なわれる大祓いの神事をいう。各地の神社では、茅の輪(茅萱を束ねて輪にしたもの)を参詣者にくぐらせて穢れを祓ったり、形代(紙などを切って人の形に似せたもの)に息を吹きかけて穢れを乗り移らせ、それを川や海に流したりする。
本来は旧暦の神事であるが、新暦の6月30日に行うところも多い。
「名越の祓」でいう「穢れ」は、キリスト教的な贖罪の対象となるものというより、疫病を引き起こすような目に見えない細菌類を指すものである。古代から中世にかけて、人々が何よりも恐れたもののひとつに疫病があった。「名越の祓」にとどまらず、夏、それも梅雨どきの季語の中には、疫病退散を願う季語が少なくない。「菖蒲湯」「祇園祭」などは、その代表的なものである。
「疫病退散」の願いも単に疫病を忌み嫌うのではなく、いったんはその厄神を迎えてなだめすかし、そののち退散を願うというものであった。
草の戸や畳かへたる夏祓 太祗
新しい畳にも厄除けの力がありそう。
形代にさらばさらばとする子かな 一茶
流れて行くひとがたに手を振る子供。
竹さやぎ夏越の星の流れたる 久米三汀
美しい名越である。
ぬばたまの晦日祓の恐ろしき 高野素十
闇の中のお祓いであろうか。
天地の力もて結ひ茅の輪かな 長谷川櫂
まことに力強い茅の輪、疫病も退散するしかない。
(kinuta)
