季語散策28 雁
晩秋に北方から来る渡り鳥の一つ。体は大きく灰褐色。頚が長く尾は短い。鴨に似た声をを発しつつ棹型や鉤型になって空を飛ぶ。
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みづうみを渡れる雁のあきらかに 岸風三楼
「あきらかに」ははっきり見えるということ。
はからずもこの朝焼の雁のこゑ 加藤秋邨
「はからずも」は偶然がもたらした朝焼けと雁の声。「この」に感動が託されている。
菱喰はぐわんぐわんと鳴き交はす 長谷川櫂
菱喰は真雁の仲間。大空で鳴く菱喰だろう。
初雁と聞きとめしあともうはるか 岩井英雅
忽ちに遠くなる雁の声。
ふり売の雁ン哀れなり夷講 芭蕉
夷講は冬の季語。人間に食われる売り物の雁である。
(松)
