一句を読み解く80

新米の倉を灯してゐたりけり 斉藤夏風
「ゐたりけり」を何かに置き換えられる俳句である。例えば地名などを入れれば「新米の倉を灯して奥会津」、状況を述べるとすれば「新米の倉を灯して昼の雨」、何かを取り合わせるとすれば「新米の倉を灯して鉦叩(季重なり)」などなど。「新米の倉をともしている」そこだけ焦点を絞った「ゐたりけり」なのである。
夜になっても新米が次々に運び込まれているのであろう。(松太)
簗掛けの水をなだめてゐたりけり 草間時彦
鶏頭の芯までほてりゐたりけり 深見けん二
艶然と秋夕暮れてゐたりけり 長谷川櫂
水中花水が疲れてゐたりけり 黛まどか
人去りて団扇ちらばりゐたりけり 岩井善子
