季語散策19 秋風

秋に吹く風のこと。秋がはじまる立秋(八月八日ころ)のころの秋風は暑い風、季節が進むにしたがって、さわやかな風に変わり、冬に近くなるころには冷たい風になる。変化する秋風であるが、秋風というとどこか寂しい雰囲気がある。
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秋風や藪も畠も不破の関 芭蕉
岐阜県関が原の不破の関、秋風と荒涼の取り合わせである。
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金屏の羅は誰が秋の風 蕪村
金屏風にかけられた羅が秋風に吹かれる。
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秋風の聞えぬ土に埋めてやりぬ 夏目漱石
愛犬の埋葬と秋風の取り合わせ。
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古人みな詠ひつくせり秋の風 森澄雄
歌にも俳句にも多く詠まれている秋の風、もう詠む余地がないということか。それでも新鮮な秋の風を見つけるのが俳人である。
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刀身を真赤に焼くや秋の風 長谷川櫂
これから鍛えられる刀身であろうか。この秋風は癒しの風である。
(松)
