季語散策13 炎天

燃えるような夏空のことです。どこを見ても空はまぶしく、光はぎらぎらと輝きます。蝉が鳴き、川やプールでは子供たちが水浴びに興じます。
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炎天の空美しや高野山 高濱虚子
高野山は知ってのとおり弘法大師空海によって開かれた聖地です。今でも奥の院には毎日かかさず空海に食事が運ばれ、開山以来その法灯は絶えたことはないといわれます。
高野山の上に広がった空は天上界に一番近いのかもしれません。
炎天を槍のごとくに涼気すぐ 飯田蛇笏
「炎天」は晩夏の季語です。語感から圧倒的で威圧的な感じを受けます。「りようき」という語感に天を切り裂くような鋭さ潜んでいます。
炎天へ打つて出るべく茶漬飯 川崎展宏
大上段に構えた「打って出る」これを茶漬飯が軽く受ける諧謔の一句です。これもまた俳句の面白さ。
炎天やくらきところを家といふ 本宮鼎三
炎天をやって来て家の中に入ると真つ暗、一瞬何も見えなくなります。誰もが経験している事をさッと句に仕立てた面白さ。
炎天へ戻つて行くや箒売 北側松太
これはいたって日常的な炎天です。そんなに遠くない昔、行商の人たちは大きな荷を担いで家々を回っものですた。富山の薬売り、竹かご売り、そして掲句の箒売。売れたのか売れなかったのか、ちょっと気になります。
(立)
