一句を読み解く32

若葉して御目の雫ぬぐはばや 芭蕉
日本に渡る途中、波のしぶきが目に入って失明したという鑑真和上に寄せて詠んだ句である。
「若葉して」は周囲の樹々が若葉で覆われたということではない。「若葉を以ってして」「若葉を使って」という意味である。みずみずしいこの若葉で鑑真上人の目の涙を拭ってあげたい。できれば、若葉の効能をもってその目を癒して差し上げたいというのである。助詞「ばや」は何かしてあげたいものよ、ということ。芭蕉らしい、思いがたっぷりと入った一句である。(kinuta)
