ネット句会感想
引き摺られ凍て道をゆく散歩犬
散歩犬は馴染まない言い方ではないでしょうか。散歩する犬に凍てついた道を引きずられて行くさまを言いたいのだと思います。言い方を考えてみませんか
街中にラメの降り来る十二月
クリスマスの頃の街の様子を詠んだものだと思いますが、ラメが解りにくいのではないでしょうか
人日やドライフルーツケーキ焼く
人日は正月7日のこと。この日は七草粥などを炊きます。季語が少しあっていないのでは。
冬眠の蛇の化身の真紅かな
最後の真紅がわかり難いと思います。
松本や駅降り立てば雪の峰
地名の松本がこの句では説明になってしまったようです。
端つこに妻ゐてくれる初景色
ゐるではどうでしょうか。
石炭を山と入れたるバケツかな
懐かしい物に出会ったような感じです。俳句はあまり力まないほうが良いのかもしれません。
火のごとき一句をもちて初句会
これは前と違い、歌舞伎でいえば見栄をきったような句です。心構えを無理なくすっきりと言っています。この無理なくすっきりと表現するのが、大切です。
深呼吸また深呼吸初日の出
深呼吸の繰り返しが少し単調では。深呼吸に代わる良い言葉を捜すのが、俳句の醍醐味ではないでしょうか。
除夜の月院号の字を確かむる
一読して場面がわかり難いのが難点だと思います。墓に刻まれた文字を確かめているのでしょうか。
新暦表紙一気に捲りけり
「一気に」だと破りけりのほうがよいのではないでしょうか。
輝けるうすらひ踏んでしまひけり
もう少し気持ちを込めた方がいいのでは。このままですとこの句を読んで「ああそうですか」終わってしまいます。
伊豆下田まことうるわし初日かな
伊豆の海に上る初日ですが、この場合地名が利いていないのではないでしょうか。
ぬるま湯にすすぐ漆器や寒の入
出来ている句なのですが、少しパンチがないようです。
初夢や若き身体の足と腰
若い日のかつての自分の姿ということでしょうか。少し面白みにかけるようです。
白杖に破魔矢を重ね下りおり
どういった状況なのかわかりません。句を読んで景色が見えることが大切だと思います。
職人の手さばき軽し太鼓焼
その通りなのですが、もう少しつっこんで言わないと共感を得るのは難しいと思います。
買初や手作りといふ夫婦箸
これでもよいのですが、「といふ」が取れるともっとよいと思います。
選ばれし百本の矢や弓始
弥彦の弓始でしょうか、「選ばれし百本の矢」の選ばれしなぜ百本なのかわかるとともっとよいのでは。
巫女となる妻を目で追ふ初詣
意味はわかるのですが、少し特殊な感じがします。
故郷の景色見えたる初飛行
自分が見ている景色にしては「みえたる」が他人事のようです。自分が見ているように言ったほうがよいのでは。
一望の富士晴れ渡る福寿草
お目出度い感じは十分でているので、福寿草を少し離れた季語にするともっと句が広がると思います。
プラスチックの俎板に穴冬深し
使い込まれた俎板なら「穴」より「包丁のあと」とか「きず」といった方がよいのでは。
二人して早寝早起き去年今年
丁寧な生活ぶりが伝わってきますが、少し報告に終わってしまった感じがします。俳句的に言うなら「早寝して常と変わらぬ」とか言い回しに工夫を。
冬の雨壁一面のレコード盤
雰囲気は十分に伝わってきますが、言いっぱなしの感じがあります。
初夢は箱根の山を一つ飛び
軽快な句ですが、面白みにかけます。
あぢさゐの枯れし根方を初音かな
雰囲気のでている句だと思います。
小寒や対局相手に妻を呼ぶ
小寒の季語が利いていないように思います。
蔵人の櫂入るる音寒仕込
「蔵人の櫂入るる音」に工夫があるともっとよい句になると思います。
乾び鮭千島寒流響きけり
出来ているのですが、千島寒流が少しオーバーかもしれません。
湯たんぽを抱いてテレビを見てる妻
面白いのですが、妻でなく自分がテレビを見ているといったほうが句が生きると思います。
両手足おおひに伸ばす初湯かな
初湯の雰囲気はあると思うのですが、面白みに欠けるようです。
カフェオレの分厚きカップ冬の駅
雰囲気に頼りすぎているよう気がします。カフェオレと冬の駅だけなので少し動きのある言葉をいれる良いと思います。
一回で車庫入れ決まる二日かな
季語が生かされていないようです。
歳晩や母を叱りて我も泣き
「母を叱りて我も泣き」を生かすにはもう少しゆったりとした雰囲気の季語でも良いと思います。
橋ひとつ渡れば雪の深さかな
雪は地形によって随分と積り方が違いそのことを詠んだものでしょうが、雪がぐっと深くなったと言う気持がこのままでは伝わりにくいと思います。「深さかな」ではなく「深くなり」としたほうが気持は伝わりますが、俳句として面白いかどうかです。ここを考える事から、俳句がはじまります。
(立)
