男らの汚れる前の祭足袋 飯島晴子
祭りというと思い浮かべるのは、まず山車や神輿、花火や露店だろうか。毎年日本各地では、様々な祭が開催され、神輿を担ぐ人、行列に参加する人、見物する人など、それぞれが非日常を思い切り楽しむ。この句は祭装束を身につけながら、神事の晴れ舞台へとむかう男たちを描いている。祭が始まる前の彼らの足袋は真白く、主役となる時を目前に期待や緊張を、その身体や表情に漲らせているだろう。彼らの履いているまだ真白い足袋は、やがて祭の中をエネルギッシュに進み、汗や埃を吸い込み雄々しく誇らしく汚れていく。真白い祭足袋を履いた男衆の一場面を描いた事で、祭に参加するものの表情やこれから始まる祭の勢など多くシーンを想像させ、鮮やかな印象を残す。(彰)「季語 祭(夏)」