雨だれの音も年とった 種田山頭火 大呂俳句会 投稿日:2020年7月25日 作成者: dvx223272020年7月25日 山頭火の母は、山頭火が十歳の時に自宅の井戸に身を投げて自殺した。山頭火は二十四歳で結婚し、二十八歳で長男が生まれたが、生涯母親が自殺したことから逃れることができなかった。この句は山頭火が四十八歳、別れて暮らす長男が秋田鉱山専門学校に入学した年のものである。乞食途上の宿でトタン屋根を叩く雨の音を聞く。「雨だれの音も」の「も」は同類の存在を暗示する助詞、俺も年を取ったが雨だれの音もまた年をとったということか、だが、老け込むにはまだ早い。歩き続けるより他なかった。(雄)「無季」