まいまい句会感想②
鮟鱇鍋しばし忘れる浮世かな 森本哲雄
ポケットに懐炉押し込む夜警かな 森本哲雄
子宝や直ぐになくなるおでん鍋 森本哲雄
「ポケット」の句は点がたくさん入りましたが、哲雄さんの句は皆因果関係を感じさせる句です。美味しい鮟鱇鍋を食べて浮世を忘れる。寒いからポケットに懐炉を忍ばせる。子供が沢山だからおでん鍋がすぐ空になる。俳句はここからが出発です。例えば「しばし忘れる浮世かな」につく季語を探すと「餅花にしばし忘れる浮世かな」とか「風花にしばし浮世を忘れけり」など。逆に「船宿は男ばかりや鮟鱇鍋」など推敲は作句にとってとても大切です。
縄文の器に活けて梅の花 百合
縄文の器が良く解りません。発掘されたようなものであれば決して花など活けないと思います。縄文の器が句を解りにくくしています。例えば「焼き
締めの花器の肌や梅の花」などとすればまだ解るのですが、このままでは舌足らずの句です。
星一つ星また一つお涅槃会 百合
頂いた句ですが、「星一つ星また一つお成道会」「また一つ星の増えゆく成道会」など夜通しで行う法要の方が星が増えて行く感じがあると思います。
(律)