使ってみたい季語13 新蕎麦
蕎麦には、秋蕎麦と夏蕎麦があるがここに取り上げた季語「新蕎麦」は、秋蕎麦のこと。秋蕎麦は夏にまいて十月ころに収穫する。生育期間が短く痩せた土地にも強い作物なので稲作に不向きな山間部や高原地帯などで栽培される。「蕎麦刈」は冬の季語になっているので、その年の新しい蕎麦といえば冬の食べ物になるのだが、「新蕎麦」は秋の季語。蕎麦の実が熟すより一か月ほど早く刈り取った蕎麦粉をこねたものが「新蕎麦」である。その年に取れた米を新米、その年に取れた大豆や小豆を「新大豆」「新小豆」というが、新蕎麦はそうしたものとちょっと違い、熟す前の蕎麦を刈り取るのである。一日も早く初物を味わうことにこだわった江戸っ子の季語なのである。(kinuta)
堂頭の新そばに出る麓かな 丈草
新蕎麦やむぐらの宿の根来椀 蕪村
新そばを碓氷の雷に啜りけり 徂春
江戸店や初そばがきに袴客 一茶
新蕎麦の冷たさをみないひあへる 渡辺文雄
