鮟鱇の地べたに置かれ糶られけり 本宮哲郎 大呂俳句会 投稿日:2018年12月21日 作成者: dvx223272018年12月21日 村野四郎の詩「さんたんたる鮟鱇」は、次のように終わっている。「なんにも残らない廂から/まだぶら下っているのは/大きく曲った鉄の鉤だけだ」 鮟鱇の吊るし切りのなれの果て。存在のなくなった鮟鱇の「さんたんたる」不在が、一つの鉤に象徴されている。本宮さんの句。自分の体重で半ばつぶれかかっている、地べたに置かれた鮟鱇。その容貌からいくらかおかし味も感じるが、糶落とされれば、吊るし切のさんたんたる運命が待ちかまえている。(m)