まいまい句会感想①
強がりを言へぬ齢や寒波急 文夫
「寒波急」がいつもお伝えしている良くない言い方です。ここは「寒波かな」で十分ですが、「強がりを言へぬ齢」と因果関係を感じさせます。上五中七の内容と季語との距離はもっと取った方が良いと思います。
寝つきよき夫にくらしや玉子酒 百合
お気持ちは良く解りますがも少しおだやかに「夫かたはらに」くらいで良いと思います。
涸れ川や小魚捕える鳥が見ゆ 生き方を
前回もお伝えしましが俳句は余韻を残す事。「見ゆ」までは言い過ぎです。例えば「川涸れて小魚をあさる烏かな」など言い過ぎない事。
老農の手の皺深き今年米 森本哲雄
この句も手の皺と今年米が付きすぎです。もっと距離をとった季語を置くように歳時記をあたってみて下さい。
しぐるるや涙とともに喜捨の飯 森本哲雄
この句は喜捨をしているおか、されているのか良く解りません。その辺りをしっかりと伝える工夫をすべきだと思います。そうすると「涙とともに」などという駄目押し的な表現はとれると思います。
(律)