まいまい句会感想②
蜘蛛の巣や日本に空き家増えてゆく 森本哲雄
空家が増えてあちこち蜘蛛の巣だらけになってしまいました、と言う事ですがこれでは何が何してなんとやらと報告してるだけ。また空家と季語の「蜘蛛の巣」の因果関係もよくありません。季語はこのように使うものではなく句の世界を大きく広げるように。例えば「炎帝や」とか「片蔭」などの天文の季語「夾竹桃」「百日紅」などの植物色々考えご自分の表現したいものを突き止めるまで、推敲するのが俳句です。その中で「空家増えてゆく」が俳句として面白いかどうか。季語をかえても句の内容が良くなければその俳句は捨てるべきです。
ボタ山を眺めて走る冷房車 森本哲雄
この句もボタ山の暑さと冷房車を取り合わせていますが、季語が全く働いていないようです。
暑さ言ふ隣家の戸口回覧板 政己
この句も全部言ってしまいました。読み手は「ああそうでね」で終わってしまいます。「暑さ言ふ隣の戸口」なんとも当たり前です。
ガリガリ君黄色い服を着てござる ばふき
意味不明です。
散らし寿司食器入れには桶が邪魔 ばふき
確かにその通りですが、それがどうしたという感じです。
立秋や風が強くて土埃 ばふき
俳句は愛でる事が大切。
滝道に止まれば風の迎へ来る 文夫
狛犬の押し黙りたる酷暑かな 文夫
二つとも出来ているのですが、もう一歩踏み込みが欲しい所です。
(律)