まいまい句会感想③
嵐山の猿に会ひたる春の雪 葦たか
ただの報告のようです。
春の水娘の腹のふくらみて 葦たか
言葉は不思議なもので、同じこ事をいっても人によっては伝わり方が違います。「娘の腹のふくらみて」はお目出度で赤ちゃんが生まれるという事でしょうか。もしそうなら 少し乱暴な気がします。穏やかな言い回しが欲しいところです。例えば「産み月の娘にきらきらと春の水」とか言葉を選ぶ事も大切だと思います。
山よりもでかい猪出る炉辺話 いつせ
面白いのですが、炉辺話が気になります。炉話と置きたいところです。「炉話や山より大き猪の出て」くらいで良いと思います。
春日和今宵あるらし猫の集会 かまか
通用する結社もあるかも知れませんが、ふつう春に日和は用いません。
寒すずめ罠より外す温みかな 輝久
「温み」が余計です。何が温みなのか、罠よりはずす行為が暖かいのか、雀が暖かいのか訳が解ったようで解りません。
春炬燵幼の父に酌む白湯や 輝久
言いたい事を整理して焦点をしぼらないと訳が解りません。無理をするので「白湯や」などと置いてしまう事になります。子が父に白湯を汲んでいる春炬燵と言う事でしょうか?
瀬戸内の旅情沸々干鰈 政己
これも瀬戸内の旅情が甘い言い方で、どこの旅情でもいいのでは?
矢となりて宙翔る旅K点へ さら紗
たぶんジャンプ競技の事を言っていると思うのですが、ジャンプの様子を五七五に収めただけのに感じます。
(立)