まいまい句会感想①
狛犬の口の中まで月冴ゆる 葦たか
このままですと「月冴ゆる」の季語の付きが落ち着きません。俳意は狛犬の口の中にまで月光が射しこみそれが冴え冴えとしていると言うことだと思いますが、斟酌しないとそのように読めません。「狛犬の口の中まで寒の月」くらいでしょうか。
凩の駅裏通り赤提灯 政己
少し道具立てがそろってしまったような句です。
境内の鳩とたわむる冬日かな くに
スマホ持つ黙の車内や冬の暮 くに
以前も書かせて頂きましたが、くにさんの句は出来ているのですが季語が動きます。「冬日」を「梅日和」「小春かな」と置き換えても成り立ちます。「冬の暮」も同じです。これは俳句の内容が只事に近いからです。長く俳句をしているとこのような句を作ってしまいがちですが、俳句を一歩進めるためにも気を付けたいものです。
着ぶくれて保護といふ名の過干渉 哲雄
着ぶくれやと切れを入れた方が良いと思いますが、少し理屈っぽいです。
居酒屋のフックに並ぶ冬帽子 雅宏
頂いた句ですが、並ぶが少しおとなしい感じがします。「フックをあふれ」とか工夫する余地があると思います。
(立)