まいまい句会感想③
思ひ出を二言三言墓洗ふ 輝久
頂こうか迷った句です。とれなかったのは「思ひ出を二言三言」で思い出を二言三言で言えるのかなと考えてしまいました。字余りになっても「二言三言言葉をかけて墓洗ふ」とか「思ひ出を語りかけつつ墓洗ふ」なら頂いたかも知れません。
膝の子もいつか寝息の夜なべ哉 輝久
輝久さんの句はみなしっかりと出来ているのですが、「いつか寝息」の「いつか」が選句のさい迷うところとなりました。俳句は状況を説明すると句の焦点がほけてしまいます。一枚の写真でその場を写し取るようにすっぱと切り取る事が大切だと思います。
秋朝にいのくま紫苑知りにけり 朝男
このままでしたら単なる報告の俳句です。読む人は「ああそうですか」で終わってしまいます。また、いのくま紫苑とありますが、特別な紫苑なのか気になります。俳句は多くの人が共有できることが大切であまり細かな学術的なことはを詠むのは避けるべきだと思います。
不知火の天に帰れぬ四郎かな 梅花
「不知火」と言う季語に中七下五がもたれかかているような気がします。また、内容が少し抽象的なので余計句が解りにくくなりました。
切子皿梨のしづくもよく冷えて 風更紗
言いたい事は良く解りますが、「しづくもよく冷えて」は苦し紛れの言い回しのような気がします。「よく冷えた梨を切子の皿に盛り」なのでしょうが、これでは平凡だと思われたのでしょうが俳句はここから推敲すべきです。例えば「よく冷えた梨に曇れる切子かな」とすればちょっと平凡からぬけ出ることが出来ます。自分の発見や驚きをサッ言いとり、じっくりと推敲すればよい句が出来ると思います。
遠くより掛け声響く秋祭 ひろし
白粉花やひそと屋敷の片隅に ひろし
それぞれ俳句の形は出来ているのですがどこかで見たような句であったり、切り取り方が平凡であったりと句に人を引き付ける力がありません。
(立)