まいまい句会感想12月
霰打つ蛤御門の弾の跡 政己
とても雰囲気のある句ですが、銃弾と霰の打つが気になるところです。銃を撃つと打つが重なってしまいます。「時雨るるや蛤御門の弾の跡」どうしても霰を用いるなら「初霰」とか打つをとる工夫をされると良いと思います。
濃紅葉の散り敷く一葉色褪せず 政己
散り敷いた紅葉がひとつも色あせずにあると言うことでしょうか。それでしたら「散り敷いて一葉も褪せぬ紅葉かな」とすれば意味通ると思いますが、投句のままでは意味が少し解りにくいと思います。
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枯れ葉道 亡き友の影 幻か 晴州
綿雪が 蝶舞う如く 北の街 晴州
冬木道 ななかまどの実 いじらしく 晴州
俳句はあいだを開けて書くととても素人ぽっくみえます。また、三句切れにもなりやすく読み手は一気に読み下すので選をする時違和感を覚えますので、普通に詰めて書かれる方が良いと思います。
枯れ葉道亡き友の影幻か
亡き友の、影と幻が少しごちゃごちゃしています。このままを句にするのでしたら「亡き友の幻を見し枯葉道」で良いと思います。
綿雪が 蝶舞う如く 北の街
綿雪は切片の大きな雪で春の季語になります。また、北の街とありますが「北の街」が句の中で効果をもたらしていません。原句に添って直すなら「蝶の舞ふごと一片の春の雪」
冬木道 ななかまどの実 いじらしく
冬木道は冬の季語 ななかまどは秋の季語ですので季重なりです。ここではななかまどの実がいじらしいと感じてらっしゃるので、冬木道を並木道とか○○道と替えると良いと思います。が、例えば
「並木道ななかまどの実いぢらしく」とするとちょっと当たり前です。もう少しななかまどの実に気持ちを寄せると、「風音やななかまどの実いぢらしく」とか「天高し 青空や」などとご自身の気持ちに添って推敲なさって下さい。この推敲することが俳句を作っていく事です。
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枯れ菊や喪中葉書のけふもまた 梅花
喪中葉書と枯れ菊ちょっと、これでもかと言う感じがしませんか。つまり死を連想させる枯と喪中が
ぶつかっているのに気が付かれると思います。季語は離して使うと俳句の世界が大きなります。
植物でしたら例えば「お茶の花」とか「石蕗の花」とか喪中葉書というマイナーなイメージを持つものをすっと救くえるような季語を。「また一枚喪中はがきや石蕗の花」
博多古図どこも海なりユリカモメ 梅花
これも海とユリカモメが付きすぎだと思います。また、「博多古図どこも海なり」が言い足りていないようです。
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冬帽子自づと深く被りをり いつせ
「被りをり」が不要です。このまま「冬帽子自づと深くなりにけり」くらいにとどめた方が良いと思います。
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十二支を口ずさむなり一葉忌 くに
かたちは出来ているのですが、十二支を口ずさむのと一葉忌の付が離れ過ぎていて理解できません。
心打つ映画ふたたび冬温む くに
この句は逆に季語が付きすぎのようです。
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いちまいの鉄錆色の朴落葉 しんい
句としては整っているのですが、ちょっと当たり前の感じがぬぐえません。「地を打って鉄錆色の朴落葉」と少しオーバーに。
入院の支度あれこれ冬立つ日 しんい
「冬立つ日」ですと「家を発つ」「旅に発つ」と何か関連を感じさせて良くないと思います。同じ季語を用いるなら「今朝冬の」とするか、他の温かさを感じさせる。ような季語が良いと思います
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侘助や想いを口に緩めおり のほほん
「想いを口に緩めおり」の意味がわかりませんでした。
涙枯れ冬の金魚の絵画展 のほほん
この句は意味がわかりません。
瞑想に抱かれて夜の冬木立 のほほん
瞑想に抱かれと詩的な表現をされていますが、瞑想に抱かれるとはどのような事なのか意味が通じません。「瞑想をするかに夜の冬木かな」
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湯豆腐や粋な女将の京なまり 妻有
形も出来ている句なのですが、気分だけで作ってしまった感じがします。
寒月に熱き唇触れざれじ 妻有
「触れざれじ」の言い回しが解りません。
凍蝶や祷りの席を疑はず 妻有
このままですと句の意味が通じないと思います。
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短日の時計遅く進むごとし 昌人
俳句は意味が通じる事。多くの人の共感を得る事。これらを意識して作句しないと、独りよがりの意味不明の句になってしまいます。普通は日が短くなると時間が早く進む感じがするのですがいかがでしょう。
桜鍋湯気の向こうに父の顔 昌人
句はできているのですが、少し当たり前の感じがあります。もう少し突っ込んで作句すると良いと思います。
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北風と入るも名曲喫茶かな ひとみ
「入るも」の「も」は句の力を弱めます。「北風と入る名曲喫茶かな」で良いのではないでしょうか。
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風の無き竹林の庵冬支度 朝男
孟宗の天突く先や冬の月 朝男
ふたつともそこそこ上手に出来ている句なのですが、雰囲気だけで終わっています。何を感じたのか
何を句にしたいのかもう少し考えてみると良くなると思います。
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鳴き声を空に引きずり寒鴉 ひろし
ごちゃごちゃと言わずにすっきりとしています。俳句はこれくらいあっさりと表現したほうが読み手の想像を刺激して印象に残る句になると思います。
(立)