道具
妹が亡くなり一人っ子である甥が、ペーパードライバー返上のため新潟に車の練習に来た。地方の車の少ないところで、練習したいらしい。ついでに、母親の味も教わって行った。
車の方はともかく、包丁の方は今時の子らしく全くおぼつかない、呆れるほどだ。
教えて欲しい料理の中にオムレツがあった。彼が言うオムレツはひき肉と玉ねぎをいため、卵でくるんだ我が家に伝わる惣菜オムレツだ。何も知らない彼は長らくこれを本来のオムレツと思っていたらしい。ついでにマカロニサラダとけんちん汁、新潟で食べた鯨汁も教わっていった。サラダに入れる胡瓜の千切りも人参の千切りも実に危なっかしい。
いやそれ以前に包丁の持ち方がおかしい。鉛筆は鉛筆削りで、マッチはチャッカマンでと身の回りから基本的な道具が消え、ナイフを使う事もマッチを摩って火をつける事もなくなってしまった。道具は子どもの頃から正しい使い方をマスターすれば、それ程危険ではないはず。ちゃんと使いこなしてこそ、安全に使えるのに、大事にされすぎた現代の子等は生きるために必要な道具の使い方が出来ない。(立)
