あきらかに雀吹かるる若葉かな 原石鼎
三文字の季語「若葉」に切字「かな」がついて下五におさまる俳句の形の一つ。この形は中七の終りが動詞や形容詞、形容動詞の用言になることが多いこと。石鼎の句も「吹かる」の連体形「吹かるる」と動詞になっている。吹かれているのは雀であって若葉ではない。ならば「雀吹かれて若葉かな」の方が分かりいいのだが、「吹かれて」に軽い切れが生じることで、切字「かな」の価値が半減してしまう。切字「かな」を生かすための連体形なのでである。四段活用の動詞では連体形と終止形の区別がつかないが、下につながるように連体形で読むべきである。(m)