季語散策21 蜩

明け方や日暮の微妙な光に反応し鳴き始める。カナカナと鳴くのでかなかなともいう。澄んだ鈴のような鳴き声である。
| 日ぐらしや盆も過ぎ行く墓の松 | 蝶夢 |
| 日ぐらしや山田を落る水の音 | 諷竹 |
| 蜩のおどろき啼くや朝ぼらけ | 蕪村 |
| 日ぐらしや急に明るき湖の方 | 一茶 |
| 蜩や机を圧す椎の影 | 正岡子規 |
| 蜩や天に崖あるひくれどき | 加藤楸邨 |
| 蜩や古鏡に谺あるごとし | 加藤知世子 |
| 蜩や暗しと思ふ厨ごと | 中村汀女 |
| 蜩や使またせて書く返事 | 星野立子 |
| 蜩や灯ともせばわが影法師 | 大野林火 |
| 蜩や夕日さし入るガラス窓 | 会津八一 |
| 濁流に立ちひぐらしを聞き分くる | 細見綾子 |
| 恋せむには疲れてゐたり夕蜩 | 草間時彦 |
| 蜩の一本道を来りけり | 大峯あきら |
| 夕ひぐらし母に文書けと言ふごとし | 大串章 |
| まろび寝によきかなかなの廊下かな | 長谷川櫂 |
| 蜩や母目醒めれば胎の子も | 高田正子 |
| 蜩は夢の中よりなきつづく | 岩井善子 |
| 蜩の声の涌きくる硯かな | 北側松太 |
