一句を読み解く50

谺して山ほととぎすほしいまゝ 杉田久女
時鳥は、五月に南方から渡ってきて日本に夏を告げる鳥である。托卵の習性があり、おもに鶯の巣に卵を産む。
句は、山をわがもと飛び回る時鳥を詠んでいるのだが、いったい何が谺するのか、いったい何をほしいままにするのかはっきりしない。不完全な言葉遣いではあるが、なんとなく察しがつくからややこしい。「その鳴声が谺して、ほととぎすはこの山をほしいままに飛んでいる」くらいの解釈であろうか。実直に句にすると、
ほととぎす声谺してこの山をほしいまま(五,七、十))
とんだ字余りになる。要するに、一句の中に詰めすぎているのだ。「詰めすぎはいけない、焦点を絞って詠む」というのが俳句の鉄則らしいが、久女の句は、その鉄則から逸脱しても名句は名句である、ということを語っている。(kinuta)
